光忠に先導されて足速に廊下を駆け主の執務室に入ると、真っ先に目に付いたのは真っ青な画面を映し出すモニター。
青い画面には白い英字が並んでいる。
ブルースクリーン!?
「第三部隊を遠征に送ってすぐモニターが見ての通りになった。幸い部隊と連絡は取れたが三日月と鶯丸だけいなくてな。こんのすけが調べたところなぜか戦場に転送されていた」
「すぐに第三部隊を呼び戻します!第二部隊は出陣の準備を!」
山姥切の状況説明の後に主の鋭利な声が飛んだ。
「場所は____阿津賀志山です!」
「なッ」
んだと!?
くらりと眩暈がした。
「三日月さんはまだ特も付いてないんだよ!?」
悲鳴混じりの光忠の声が鼓膜を揺らす。
「落ち着こうよ。池田屋でなかっただけまだ…なんとか……」
ポジティブに捉えようとした青江の声も最後の方で途切れてしまった。
たしかに池田屋は夜戦の上、検非違使もバンバン出てるからそこに比べれば救いはあるが……もう、誰もが最悪を想定している。
すぐに戦装束に着替え本体を手に、刀装と馬を用意してくれていた仲間に礼を言って飛び乗った。
「第二部隊揃ったな!?急ぐぞ!」
今月の第二部隊は私を隊長にして青江、愛染、蛍丸、和泉守、光忠の練度高めガンガン行こうぜ部隊だ。
もともと阿津賀志山を安全に攻略していくために編成した高練度バランス部隊ではあるが、通信機を持っていない二振りがどこにいるかも分からない状態で戦場を探し回りながらじゃ安全もなにもない。
それでも、諦めるなんて出来やしない。
嗚呼まさか一度は戦場で一人折れることを選んだ私が、今度は助けに行く側になるだなんて思ってもいなかったよ。
思いたくなかったよ。
「退け、邪魔だ!!」
最後の敵大太刀を撃破するも、これで終わりじゃない。
三日月たちはいなかった。
正規戦場ルートだけでも分岐を含めればまだある。
帰還ゲートを開かず別ルートへの逆走を開始した。
N地点
L地点
I地点
D地点
B地点
H地点
「ダメだ見つからない!」
度重なる戦闘にさすがの私たちも中傷になっていた。
さらに精神疲労も重なり、特に偵察を生かして目を凝らし続けている青江の消耗が激しい。
「正規ルートは回った。見落としがなければ三日月さんたちはいなかった。けど、折れた刀も見なかった」
つまり希望を持っていいならば、
「ルートから外れれば遡行軍の出現もそうそう無い。何処かで身を隠してるのかも」
どこにいるんだ。
仮にも付喪神ともあろうものが神に祈るなんて滑稽だけれど、それでも私たちにはただひたすらに祈るしかなく、ルートを外れて獣道を駆け抜けた。