3戦目

「行ってくるぜ大将」

「あんたはあの女からなるべく離れてろ」

「分かりました。気をつけて、いってらっしゃい」

さあついに出番だ。一度しか観察考察できなかったのは残念だが、機会があっただけ幸運だった。あるのと無いのではだいぶ違うからな。

「大和守」

「まかせて」

試合場ではそれぞれ離れた場所に転送されるのでその前、待機室から出たところで大和守がふらっと相手部隊に近付いた。

「なに、安定じゃん。わざわざ挨拶にでも来たの」

「まさか。ただお前が僕のとこの清光より可愛くないからからかいに来ただけー」

「あ"?」

「は?ホントのことなんだけど?ねぇそっちの短刀はちっちゃくて可愛いね。子虎までいる。可愛いー!うちにはいない子だ。主可愛い子好きだからうちにも来てくれるといいな。可愛くて強いなんて最高じゃん。あ、でもそれじゃあ清光は主に相手にされなくなっちゃうかな。お前みたいに?そりゃそーだよね!だって_____」

捲し立てるように短刀を褒めて加州を下す。
お前は主に相手にされてない、頼られてない、そっぽを向かれる日も遠くない。

ヒートアップする加州に反論は許しても短刀たちの援護は許さない。させる暇を与えるな、と言ってある。

……ごめん。けしかけといてなんだけど、めっちゃ心が痛い。そこまでやらなくても……と仲裁に入りたくなってしまう。
普段の加州との喧嘩はただのじゃれあいだとこんなところで確認した。

「じゃ!そういうことでせいぜい頑張れば?僕は顕現したばっかりだけど、うちの鶴丸さんは強いよ?お前の主が弱いと思ってる相手に負けるなんて、ますます頼りなくなっちゃうね?」

そして最後に私に意識を向けさせ、転送装置に言い逃げ。後を追って私たちも転送される。


「……あそこまで言うか」

山姥切が恐々と呟く。それな。

「確実に勝つため、でしょ?どうだった?」

「加州の旦那は確実に鶴丸を狙うな」

ヘイトは稼いだ。背中に殺気がブスプス刺さってた。いやん怖い。

大和守を狙うんじゃないか?って心配はない。遠戦でなくても倒せるって自分で申告してるし、二人の関係性なら自身の手で直接戦線崩壊させたいと思うだろう。
加州は遠戦用の刀装ではないから白刃戦で切り結んで来ると思われる。
来ると分かっていれば利用するまで。
これで遠戦と白刃戦の対処が分かりやすい。

もっと経験豊富な加州ならこんな付け焼き刃な心理戦に引っかからないと思うけど、顕現期間の同じくらいの彼ならいけると踏んだ。

「俺なら再起できない……時間が欲しい」

という山姥切の自己申告もあったし。
私でも大倶利伽羅あたりにあんなマシンガン否定されたら泣くしかない。


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