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と、そこへ―――






「やっほー。ユリウス!元気だった?」







ドアが崩れんばかりに激しく開いて、サンタの袋の様な大きな包みを背負込んだ男が1人、突如寝室に入ってきた。
訪問者が非常に少ないこの塔で、こんな私的な部屋に土足で踏み入る人物とは一体。パロマはユリウスに拘束されたまま目を見開いた。そして、当然と言えば当然だが、ハッキリ目が覚めたユリウスも同方向に目を向けている。
そして突然現れた彼を見たままベッドの上で固まった二人に、彼は何を思ったのか、いや確実に思った事は一つだろうが、年頃の女の子の様に恥ずかしそうに頬をポッと染めたと思ったら、今度は明らかに穏やか〜な表情を作って、来た時とは真逆に静々と同じドアから退散していった。まるで登場自体を無かった事にするかの如く。


「「ちょっちょっと待っ!!!」」


パロマとユリウスは同時にベッドから起き上がり、ドアに向けて手を上げて叫んだ。




場所を改め、ユリウスの仕事部屋。
すごい速さで塔の外に出て行こうとしていた彼を二人掛かりで何とか引きとめ、この部屋まで引き摺りこんだ。その間、「え〜っ良い所だったじゃん。続けなよ〜。」「良いって良いって、こんな真昼間だって、お盛んな事は結構じゃないか。誰にも言わないからさっ。」と言う、彼の爽やかな冷やかしには二人共断固として否定しつつ、何とか帰ろうとする彼をユリウスが引っ張り、パロマが全体重を掛けて彼の背中を押し続けた。


今はコーヒーの香ばしい香りが部屋中に漂う。
椅子に無理やり腰掛けせられた彼は・・・・何故か照れていた。
「いやいや〜!なんだよ、ユリウス〜。結婚したんだったら、そう言ってくれないと。」


「「結婚してない。」です。」



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bkm


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