17
清々しく晴れ渡る空。
塔の見晴らし台から覗く世界はすべてがミニチュアの様に小さく見え、色とりどりの玩具を引き詰めたトイボックスの様で絶景だ。
パロマは大きく息を吸い込み―――





「フリィイイイイダァ―――ム!!!!!!自由だぁあああああ―――!」





両腕を上げ空に向かって吠えた。塔に止まっていた鳥達がバッサバッサと一斉に飛び立つ。



「うるさ―――い!!パロマ!!!仕事をしろ―――!!!!」



間を置かず、塔の下から怒りの叫び声が木霊した。
近くの林から鳥達の第二陣がバサバサバサーと飛び立った。
「はいはい〜っと・・・」
パロマは片足をひょこひょこ動かしながら螺旋階段を下りる。
そうパロマは腫れた右足の療養の為、しばし時計塔にお世話になることになった。
怪我人対して『働かざる者食うべからず』と平気で言う血も涙もない塔の領主にこき使われている。―――とは言っても、ここにはガミガミ口煩いウサギも、小憎っったらしい悪ガキ達もいない、完璧に自由だ。
パロマはルンルンでユリウスの仕事部屋のドアを開けた。






「・・・私にはこの部品とこの部品の違いが全く分かりません・・・。」
「右手に持っているのがド―フィンの分針、左手がバトンの時針だ。ド―フィンは先が剣先のように鋭くなっているだろう、それに比べてバトンは先端だけが急にとがっている。ちなみにこの全体的に細身にできているのがリーフの秒針だ。」
パロマの座った机の向かいに陣取ったユリウスが、良く見ると微妙に違う針の様な物を手に持っている。テーブルの上にはそんな針が山と積まれていた。パロマの手前には細かく区切りの付いた箱が一つ。中にはポツポツとしか針が収まってはいなかった。


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bkm


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