02
「大丈夫ですか?」
人がいたのに驚きながらもすぐさま立ち上がる。
何とか瓦礫をよじ登り、埋まった人々の救出に向かうが、瓦礫を押し退け何とか引き上げたものの、助けた人たちは皆・・・大丈夫そうではなかった。
「・・・っ!だ・誰の・・・仕業だっ・・・お前か!」
「どこの組の者だ!!・・も・目的は何だ!」
助けてくれてありがとう、なんて言葉は誰一人言わない。
もちろん上から落ちてきた自分のせいでこうなったのだろうから、礼を言われても困るのだが。でも落ちてしまったのは自分のせいではないはず、そう思いながらも辛そうな人たちの介抱に回った。
「く、組?あ、学校の事ですか?私はパロマと言います。近くの学校の声楽部に通っています。ところで―――」
「セイガク?!お前は新参のマフィアだな!クッ・・・すぐにボスに知らせないと!」
「そこに立って、両手を上にあげろ!!」
誰も話を聞こうとしない。
足が痛そうに曲がって、頭から流血しているのに、口ばかりは元気な人たちだ。しかも、相当ガラが悪い。
彼女は何を言っているのか全く分からなかったが、自分が悪者にされているのは、彼等の目つきで分かった。
ここはひとまず退散しよう、とパロマはこっそり目論む。
「あの〜・・みなさん。お怪我が酷い様なので、外から人を呼んできますね。打ち所がとっても良くなさそうなので、動かないようにして下さい。・・・それでは、また〜。」
パロマはニッコリと人の良い笑顔を浮かべながら、後ずさりしつつ慎重に動く。
「あっテメェ!動くな、そして逃げるな!!」
足を捕まえようとゾンビのように這ってくる強面もお兄さん達。
恐る恐る避けて、ドアだった場所(そこも瓦礫の山だった)から外に出る。
道は散々な有様でレンガや木片が飛び散り、辺りは人っ子一人いない。ゴーストタウンなのか、辺りは閑散としていて、道端には取り残されたトマトが、踏まれたのかグシャッと無惨に潰されていた。


「いたぞぉ―――!!あいつだ―――!!!!」


何やら遠くの方から大声がする。
ドドドドっと大きな音と共に酷い砂埃のなか、強面の大衆がパロマに向かって爆走している。視線の先は彼女を捉えどう考えても彼女に向かって来ているようにしか見えない。
「どどどどどういうこと?!」
人間追われれば逃げるもの。パロマはとにかく逆方向へ走って逃げた。
商店街らしきカラフルな建物をぬけ、小道を通り、大通りの人ごみに紛れる。
しかし、いくら走っても馴染みの道には辿り着けなかった。
さらに付け加えるなら、どの建物も見知らぬ建造物で、もはや異国に来たとしか思えない。


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bkm


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