01
「きゃあああああ!!落ちる落ちる落ちるぅ――!!」


―――どどどどどうなるんだろう、私!死んじゃうの?!


彼女は来る衝撃から身を守ろうと、必死で頭をかかえて丸くなりギュッと目をつぶる。そのせいで真っ暗闇だった景色が一変して、明るい日差しが出ている事に気付かなかった。
空から真っ逆様に転落している遥か下には、何やら玩具の様に色とりどりの家々の屋根が立ち並ぶ。小さく見えるのは人だろうか、やはり色彩豊かな服に身を包んで、忙しなく道を行き来していた。
しかし、そんな事には全く意識を持っていけず、彼女は凄まじいスピードで落下し、綺麗に並んだ一角の屋敷の屋根に激突した。 


グワッシャーン!!!ガラガラガラッ


激しい衝撃音と共に屋根は完全に崩壊し、壊れたレンガが至るところに飛び散った。
笑いながら手をつなぐ親子、買い物籠を持った急ぎ足の少女、行商姿の老人など、多くの人々で賑わっていた街中が一瞬沈黙した。
みな足を止め、瓦礫と化した建物を見つめ、そしてすぐに逃げ惑う人々で街はパニックと化した。


「何が起きたんだ?!襲撃か?!」
「マフィアの仕業だ!!みんな逃げろぉ―!」


悲鳴と罵倒が街中に響き、その場から逃げようと人々が押し合いへしあい行き交う。




―――その一方。


ひどい砂埃が舞い、瓦礫の山が一部盛り上がった。ガラガラと音を立てて、彼女は自分に積もったレンガの残骸を落とす。


「ゴホッゲホッ!・・・いったたた・・・。 あ、あれ?私・・・い、生きてるの?」


顔や頭に手を当ててみて、異常を確認してみる。頭に大きなタンコブと手首を捻った位で、他は何ともなかった。それから恐る恐る腰をあげる。
あの大穴に落ちたのだ。これだけで済んだのは幸いとしか言いようがない。


「・・・?私、穴に落ちた・・・のよね?」


上部は屋根だったことろから未だに残骸が降ってくる。そこからは澄んだ青空が広がって見えた。
彼女はしばらく茫然と上を眺めていると、周りの瓦礫の山がガラガラといくつか動き出した。


―――ひ、人?!


あちこちから苦しそうなうめき声が聞こえ、血だらけの姿が見え出す。


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bkm


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