06
クマが恐ろしい腕力でスカートを引っ張る。もう少しで身体が引きずられるという所で、スカートが裂かれて爪から逃れた。パロマはその隙にぜぇぜぇしながら必死に体制を立て直す。
「あははは。大変だ〜。早く逃げなきゃ足から喰われるよ。」
上にいる彼はお腹をかかえて笑っている。
「た、助けて、下さい!お願いします!!」
「イヤだ。」
奇人、何の迷いもなく即答。
「あんたを助けて俺に何のメリットがあんの?ここで見物してた方がすんげー楽しい。こんなに興奮したの久しぶり。」
無邪気な子供の様に足をブラブラさせながら目を輝かせている。本当に、間違いなく、心から楽しんでいる様だ。見目が大変整っている分、性格が残念でならない。
「助けてくださいよ!!人ひとり食べられそうなんですよ?!高みの見物なんておかしいでしょ!!鬼ですか貴方は!!!」
パロマは頭のヤカンがピーっと沸騰して逆切れそして八つ当たりだ。下ではクマが絶えず腕を伸ばしてパロマを捕まえようとしている。パロマを支えている枝はクマの爪が当たって徐々に抉られてきていた。
「ブブッ!!逆恨みはやめろよ〜。面白いね、あんた。―――ほらっそこ捕まえられるよ?ぶわははは。」
「いやあ!」
クマの懇親の一振りでパロマの命綱であった枝がメリメリと折れ出した。無我夢中で腕を上に伸ばした時に、枝は掴めず腕は宙をさ迷い、代わりに彼の尻尾をパシッと掴んだ。
「―――え?」
驚いた彼を道連れに、支えを無くしたパロマは両腕を広げたクマの元へ真っ逆さま落ちて行った。
痛い衝撃が来ると思っていたら思いの他ホワンと着地した。恐る恐る状況を確認すると、一番下にはひっくり返ったクマ、その上には癇に障る猫、一番上がファーに包まれたパロマだった。一瞬2人と1匹の目が合いそして瞬く間に追いかけっこが再発した。
「ウオオオオオオオオ―――ン」
「いやぁあああああ!!」
「おい!マジかよ!!」
彼は逃げ惑いながら、後ろに向かって銃を構えて発砲する。
今回は参加者が1人増えたようだ。



prev next

65(348)

bkm


top

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -