04
「そうそう嘆くな、名案があるのだ。この森の野獣はほとんどが夜行性。昼の時間帯ならば安全だろう。ここからもう少し奥に入れば帽子屋のテリトリーから外れる。そこまで行けば役なし共はおいそれと追ってはこられまい。役持ち達も小娘1人の為に他人の領地にまで入り込む、という醜態は晒さないだろうよ。」
曇ったパロマの行く末に一筋の光が刺す。
「それじゃあ、夜が明けるのを待って、森の中を抜ければ良いんですね!ありがとうございます。本当にありがとう!!」
パロマはナイトメアの両手を取って上下に振った。すると唐突に彼は立ち上がり、キラリと瞳を光らせ何もない虚空を指さし、


「さぁ!ゆけ―――い、パロマよ!!お前の向かう先に栄光あれ!!」


あ、これ持って行って良いよ?とパロマの手に羊皮紙を握らせた。




「ぎゃあぁああああ―――誰か助けてええ―――!!!!!!」

只今パロマ、またもや森の中を激走中。
夢から覚めて、ナイトメアのアドバイス通り夜の時間帯は息を潜めてやり過ごし、やっと昼の時間帯になって動き出した筈なのだが・・・。
走るマロマの目の前に大きな岩が行く手を阻み、両手でくぼみを掴んで必死によじ登る。後ろではメキメキと木々が倒される音が徐々にパロマに近付いてきていた。やっと岩の上まで登ったと同時に、後方の木々があり得ない折れ方をして、薄暗い木立の間から大きな爪が飛び出した。
「グォオオオオオ―――!!!!!」
パロマの二倍もの大きさのクマが、二本足で立ち両腕を上げて彼女に威嚇している。大きく開いた口からは鋭い牙が光り咆哮で唾を飛ばした。
「いぃ―――やああ―――!!!!ナイトメアさんの嘘つき―――!!!!」
パロマは岩から飛び降り、全力で駆け出した。


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