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「よっと!」
何日か過ぎると足の痛みもすっかり取れて、仕事に励むパロマのスケジュールは何時の時間帯でもやる事がギッシリだ。掃除道具を持ち昼間の時間帯にブラッドの仕事部屋に訪れると、そこには誰もいなかった。ブラッドかエリオットのどちらかはいる事が多いこの部屋で誰もいないのは珍しい。最近は屋敷の外も物騒な事件が無いらしく、屋敷自体も穏やかな雰囲気に包まれていた。
パロマは掃除を始める前に窓を開けようと窓辺に近付いた。以前の教訓からすぐには大きく開けずに、少しずつそろそろと開ける。強風が入ってくる事はなかったが、それでも隙間から通り抜けた風がブラッドの机の上の積み重なった書類上部を撫でて、数枚がヒラヒラと舞った。
(もうっ、ボスにペーパーウェイトを買ってもらわないと。)
急いで飛んでしまった書類を回収して机上の書類に重ねようとするが、真ん中から飛び出た一枚に気付いた途端、それから目が離せなくなった。
「え・・・。こ、これって・・・。」
パロマは無意識にその書類に手を伸ばす。


「ボス〜!新種の毒物が送られてきたよ〜。」
「―――って?あれ?パロマ1人掃除中??」


もうすぐ書類に手が届くという所でドアから双子が突然現れた。ディーの問いかけに反射的に伸ばした手を引っ込めて、机から目を反らす。
「な、何ですか、その新種の毒物って・・・」
動揺しながらも二人の話に合わせる。二人は片手に赤黒い染みのついた袋を持っている。もう一方に持った斧もどこか赤く汚れていた。
「配達人が綺麗に包装された小包を持って来たのさ。厨房が注文した香辛料の到着時間帯にね。」
「けど、可笑しな点が多すぎたんだよ。香辛料にしてはいつもより小奇麗に包装されていたし、配達人の動きは無駄が無さ過ぎ。極めつけはうちの依頼は通常、指示した時刻より必ず早く届く手はずになっているんだよ。」
「調べが甘いんだよね〜。薬物仕込むならもっとしっかり下調べしなきゃ。」
末恐ろしい兄弟だ。いつもは不真面目で通っているが、門番を任されているだけある。
双子は「そっかぁボスがいないならしょうがないか。」と物騒な香辛料の袋を投げて遊んでいる。
「あ!!そうだ。パロマにとびっきりのお願いがあったんだよね〜。」
「あぁ、そうそう!僕達もリクエストしたいんだよ。屋敷のみんなをビックリさせちゃうようなヤツ!」


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bkm


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