28
接しているのは短い時間だが、双子の考えている事は本能的に分かる気がした。自分に親がいないせいか、気持ちがダブって見える時がある。
悪戯大好きな彼らだが、それはあくまでも悪ふざけの範疇であって、生死に係るほど深刻な罠は未だかつて無かった。そう、すべてがパロマの力量を見越してのものだ。
しばらく黙っていたブラッドだったが、溜息を一つ吐いてパロマを見下ろした。
「―――別に私は咎めるつもりもないが・・・。どう考えても落ちる方が悪い。あそこから這い上がれないなんて、誰も想像できぬだろう。」
「あ、―――それもそうですよね。」
アハハと頭を掻く。すると遠くの方から瓜二つの姿が見えてきた。草むらを掻き分け息を切らしながら走って来たのは、丁度噂をしていたディーとダムだった。
「「・・・・」」
二人とも一言も言葉を発しない。何か言おうと口を開くが、やっぱり何も言わず眉間に皺を寄せてパロマをじっと見つめている。
「ご心配をかけてごめんなさい。ちょっと出られなくなっていました。」
そんな二人を察して、敢えて明るくパロマの方から先に声をかけた。両腕をお腹の上でさっと交差させて、醜い傷を彼らから隠す。
「―――っ!ントにどこ落っこちてたんだよぉ!!」
「フラフラ森になんか入るなよな!!」
本当にごめんねと笑いかけると、二人は真っ赤になり、パロマから視線を反らし足元の石を蹴ったり、松明を無駄に振ったりし出した。
「落っこちたのか・・・。やっぱりだったね、兄弟。」
「―――そっか、随分遠くまで探しに行ったんだけど、こんな手前で引っ掛かってたなんて・・・。」
安心したのか、もういつもの口の悪い二人に戻っている。
するとまたもや、遠くからすごい足音で誰かが近付いてきた。
「お――い!!見付かったか?!」
誰もが想像した通り、案の定エリオットだった。どこをどう探したのか、体中にオナモミがひっついていて、さらに腕にはパクリと噛みついた蛇がグルグルと巻きついている。そんな彼だがブラッドに抱っこされたパロマを見て、明らかに安堵した。
「やっぱり森で迷子になっていやがったか!ブラッドの読みはさすがだな!!」
探した甲斐があったな〜!と言って、腕をブンブンと回し蛇を放り投げて二カッと笑った。
(!!裏を取ったり!やっぱり探してくれていたのね!)
含み笑いを隠せずチラッとブラッドを上目づかいに見上げると、またもやパロマを物でも投げる様にポイっとエリオットに放った。
「うわっと!またかよ、ブラッド!」
「―――重すぎて疲れた。後はお前が運べ。」
薄暗い森の中、ブラッドは後ろを全く見ずに、スタスタと進んでいく。
エリオットに並んだ双子が「お前、ホント馬鹿だなぁ」と言いながら、パロマの頭を軽く小突く。パロマは動く足で横抱きの状態のまま双子に蹴りを繰り出した。
馴染みの屋敷はもうすぐそこだ。


prev next

50(348)

bkm


top

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -