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間近にあるブラッドの綺麗な顔に目線が泳ぎ、すぐさまうつむいた。近すぎてもう顔が上げられない。大人しく縮こまっていたが、血と泥で汚れた服のせいでブラッドのホワイトカラーのフロックコートまで、台無しになっているのに気付いた。
自らが汚れてまで運んでくれる、ブラッドの気持ちが全く分からない。


「―――私の事、探して下さったんですか?」
「探してない。探していたのは部下達だ。」


「重く・・・重くないですか?」
「この上なく重い。」


ブラッドはパロマの小声の質問を律儀に返す。重いと言った割には、軽々と歩調を緩めず歩き続ける。
「・・・何で、私のいる場所が分かったんですか?」
あぁそれはな、と言いブラッドはニヤッと笑った。
「木の枝に紙が一枚引っ掛かっていた。お前がそれを探しているのを知っていたのは、さすがに私だけだったな。」


パロマはその言葉で胸がいっぱいになった。


この人は口では探してないと言い、本当は探し回ってくれたのだ。そして頭上で揺れる白い紙を見つけたのだろう、自分と同じように。
「―――お前に教えないとフェアじゃないだろうから伝えるが、落ちた穴は故意に作られた物、いつもの悪ふざけの延長だ。・・・しかし、今回は度が過ぎてしまった様だな。」
「え・・・?」
ブラッドはパロマの傷だらけの両腕を見つめている。確かに書類を探しにパロマが樹の下を通った時は、枯葉ばかりで大穴なんて全く開いていなかった。しかも森の中で穴があく理由もない。うまくカモフラージュされて隠された罠だったのだ。こんな大がかりな罠を仕掛ける人物なんて、二人しか思いつかない。とっさに双子の顔が頭によぎり、勢い任せでブラッドに懇願した。

「ボス!どうか、ディーとダムを咎めないで下さい!きっと、こんなことになるなんて思ってなかったんです。」


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bkm


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