11
燦々と太陽の光が降り注ぐ昼間の時間帯、いつもと同じく桶に沢山の洗濯物を入れて、パロマが庭に出てきた。
「あ、パロマさん。お疲れっす!オレ手伝いますよ〜。」
たまに時間があいた使用人がパロマの仕事を手伝いに来てくれる。
初めは捕虜扱いだったパロマを遠巻きにしていた者達も時間が経つにつれ、ひた向きに仕事に励む姿に関心を寄せ、世間話をする位には仲良くなっていた。そして、以前襲ってきた人たちも仲間と認めてくれたのか、最近親しげに近寄ってくる。もちろん彼らのおかしな敬語は今でも健在だ、何故か。
パロマは鼻歌を歌いながら、シーツを洗濯用のポールにかける。
「パロマさんはお歌がお上手っすね。どこかで習ったんすか?」
仕事をしながらよく口ずさんでいたのを、聞いていたのだろう。一緒に仕事をしていた使用人の1人がパロマに尋ねる。名前を聞くタイミングを逃してしまったので、彼の事は勝手に『部下2号』と心の中で命名したパロマだった。ちなみに4号までいる。
「そうなんです。ここに来るまでは私、声楽科に所属していて、しかも特待生だったんですよ。」
『特待生』の所は胸を張って少し大きめに誇張する。その位パロマにとっては自慢であり誇りだった。
「そうだったのですか。それでは今度ゆっくりお聞かせ下さいませんか?」
別の使用人が笑顔でお願いをしてくる。
「あ!オレもオレも!パロマさんの歌声、すっげー聞きたいっす!」
2号が片手を上げて嬉しそうにお願いに加担した。
「私で良ければ何時でも。専攻はオペラ楽曲ですが、流行歌から動揺、何でもリクエストしてください。」
一番の自慢が褒められ、パロマはすっかり上機嫌で使用人達と約束をした。すると屋敷の方からパロマを呼ぶ声が聞こえてきた。
「パロマ〜至急浴場の掃除をするよう言使ってきたわよ〜。」
今日も今日とて使用人(得に奴隷、パロマしかいない)に対する仕事量が半端ない。そして時間にも煩い。
急いで洗濯を掴みしわを伸ばしながら、片っ端から干しまくった。それから空になった桶を抱え、手伝ってくれた使用人にお礼を言いながら、パタパタと屋敷へ駆け戻っていった。


prev next

33(348)

bkm


top

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -