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小首を傾げて二人を交互に見つめる。
「そんなかわい〜仕草したって、この貸しはチャラにはしないよ?」
ニヤニヤ笑ったディーが、身長差がそんなに無いパロマの頭をグリグリと撫で回す。
「やだっ止めて下さい!何なんですかっもう!」
「ア――ッつまんないっっ!!ここ飽きたよ〜!マジで最悪!!!パロマあ〜、一緒にバックレちゃおうよ〜。すっごく楽しい所に連れて行ってあげるからさっ」
「えっ・・で、でもっ」
「ん?今、お誘いにグラッときちゃった?なら決定だな!お前最近働き過ぎなんだよ。たまにはパーッと遊びに行こう。」
「・・・・・・そんなこと、しちゃっても・・・良いのかしら・・・」
悩む仕草を見せだしたパロマに、誘いをかけた双子の方が瞳を大きくさせて驚く。
あの仕事にド真面目なパロマがこんな悪びれた誘惑に負けそうになるなんて。
最近疲れが溜まってきているのもあるだろうが、心に受けたダメージが相当響いているのだろう。ここは思いっきり羽を伸ばさせて甘やかせて、自分たちの株を上げるチャンスだ。
双子が本格的にパロマを堕としにかかろうとしたその時・・・
「あっ」
パロマの意識が双子から離れ、森の遠くに目を凝らし出した。
(チッ・・・・!!!)
二人がそろって胸の中で舌打ちをする。
「私っここに来た理由をすっかり忘れていました!二人とも気にかけてくれてありがとう。じゃあっ」
双子が明らかに憎しみの籠った表情に変わった事にも気付かず、パロマは森に続く道をタッタッタッと駆けて行った。
「「・・・・・・」」
双子は白けた顔をして、暫し無言でパロアの背中を目で追っていた。
パロマが向かった先には米粒大の黒い点がある。双子はそれを忌々しげに眺めた。
視界に移るパロマの大きさが変わらなくなったので目的地まで到着したのか、米粒が二粒、並んで立っている。
その大きさが段々大きくなっているので、二人して正門に向かっているのも分かる。
「あ〜あ・・・・もう少しだったのにね・・・・。」
「マジであいつウザい。本当にすっごい邪魔。」




「「シねば良いのに、あの馬鹿ウサギ。」」




二人の先ではもう視野に捉えられる大きさになったエリオットとパロマが並んで歩いていた。否、歩いているのはエリオットだけか。隣には誰もいないかの如く長いリーチを利用してズンズン歩いている。それに合わせてパロマは必死に早歩きになっていた。
パロマが笑顔で何かを話しかけている。がしかし、エリオットは視線すら寄越さず只管無視を決め込んでいた。
負けるものかとパロマがちょっとスピードを出してエリオットの前に回り込んだと思ったら、まるで自然の法則だったという感じでエリオットの振った腕がパロマに当たり、その結果パロマは横に飛ばされ尻餅を付いた。
ちょっと泣きそうに顔を歪めながらも立ち上がったパロマは、健気にまたエリオットの後ろまで急ぐ。早歩き処か最早小走りだ。


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bkm


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