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「駄目っつったら駄目なんだよ!これ以上喋んな。二度とこの話はすんじゃねえ!!」
エリオットの怒りが声に出すと共にヒートアップし、「分かったな!!!」と最後は脅しまがいで叫ばれ、パロマは返事も出来ずに怯えるしか出来なかった。
ここまで大きく叱られた事は無い。尻尾も耳も垂れ下がった状態で、何が起きたのか思い返してみるが、何が彼の逆鱗に触れたのか想像も出来ない。
「エリオット・・さん」
怖くて、怖くて、それでもか細く声をかけてみたが視線は合わさる事無く、大股で踵を返したエリオットが足音を激しく鳴らしながら階段を上がっていってしまった。
恐怖で固まったままでいると、ドンドンと上階にあがった音がして何処かの扉がバターン!!と激しく閉まった音まで響いてきた。その音からもエリオットの収まらない怒りが伝わってきて、ビクっと肩が縮こまった。
パロマは過ぎ去って行った台風の後を茫然と見詰めた。だた、ただ怖かった。こんなに荒れ狂おう彼を見たのは初めてだった。
(やだ、まだ胸がドキドキしてる。殺されるんじゃないかって・・・思っちゃった。)
静まらない胸の音と、顔中からどっと吹き出る冷や汗。エリオットの態度の急変がパロマの身体に異様な緊張感をもたらした。そんなパロマの姿を上段にいるブラッドが冷ややかに見つめている。
「要望と地雷を同時に放つとは、お前の度胸も大したものだな。いや、単なる無鉄砲なだけか?今お前がノウノウと生きているのが不思議な位だ。」
「エリオットが我慢強くなったのか?いや、それは無いな。もしかすると本能的に殺すのは惜しいと判断をしたのか。」とブラッドが独り言ちていたが、パロマの耳には一切入ってこない。頭の中では先の台詞の二つの単語が混在していた。要望は分かる。ついさっき自分から言い出した事なのだから。それならば―――
「どういう事ですか、地雷って。私の取った行動で、何がエリオットさんの気に障ってしまったのでしょうか。」
「今更何を馬鹿な・・・・・本気で、知らなかったのか・・・・」
ブラッドの言っている事が全く分らない。詳しく話を聞く為に、ブラッドに顔を向けてその先を静かに待つ。
「屋敷の中でこの手の話に触れる自殺希望者は最早一人もいないと思っていたが。―――そうか、お前は後からノコノコやってきた途方も無く無知の他所者だったな。」
しかし、却ってきた答えは、自分に対するダメ出しばかり。パロマの肩がガクっと落ちた。
「私の事はいいですから、エリオットさんが何に怒っていたのかを教えて下さい。」
「マフィアの過去なんて別に聞いて楽しい話ではないぞ。」
まるで聞く勇気があるのかと、ブラッドがニヤリと笑う。それに臆して一瞬間を開けてしまったが
「―――はい。それでも、知りたいです。」
パロアははっきりと答えた。



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