08
パロマが洗濯部屋に帰ってくる事が出来たのは、時間帯が一度変わってそれからかなり経ってからだった。ピアスの事は気になってはいたが、仕事に次ぐ仕事でなかなか解放してはもらえず、この時間にまでなってしまった。
「もう起きて出てっちゃったかな。」
経過した時を考えると、起きていてもおかしくは無い。きっと目が覚めて裏庭から森に帰ってしまっただろうと思いながらも、厨房へ寄って出来あがったばかりの暖かいパンと数種類のチーズをもらって帰って来た。まだ寝ているかも、と微かな予感もあってそおっと扉を押す。すると、
「すぴぃぃ〜〜〜」
「・・・・・・・・まだ、寝てた。」
ピアスはまだベッドの中でグッスリ夢の中だった。掛けた筈の布団は寝返りでもして蹴られてしまったのかベッドからずり落ち、服がめくれあがって丸出しのお腹をポリポリ掻きながら寝ている。
あんなに、寒い寒いと言っていたのに―――
パロマはクスッと苦笑を浮かべながら、布団を掛け直してあげようとしたら、


ピタリ
「だぁれ?」



目にも留まらぬ速さで、パロマの頭に冷たい銃口が押しつけられていた。
握っていた布団が手から落ちてバサッとピアスに掛かる。余りの怖さに悲鳴すら上げられなかった。さすがこの屋敷に雇われているだけの事はある。寝ぼける仕草も無く、ピアスは布団を掛けようとしていたパロマに気付いて、表情を和らげた。
「あれれ?パロマ??・・・そっかぁ〜。俺、寝ちゃったんだね。」
ふぁぁっと大きく欠伸をして頭を掻くピアスの手には、いつの間にか銃は無くなっていた。が、パロマの身体の震えは止まらない。
(やっぱり、この世界の人達って受け入れられない・・・っっ!)
武器を平然と携帯し、しかも気軽に使ってしまうこの環境に、どうしても慣れないでいるパロマだった。
怯えるパロマに、ケロッと普通に戻ったピアスがフンフンと鼻先をくっつける。
「?んん??何かパロマから良い匂いがするぅ〜。――ああ!やっぱりチーズだあああ!!!」
「ぃやっ、ちょっっ―――!!」
がばちょっ!とパロマに抱き付いたピアスに倒されて、またもは二人して揉みくちゃになってしまった。


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bkm


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