06
「―――という訳で・・・あの、ピアスさん起きています??眠くなっちゃったかしら。」
話途中からピアスの瞳がトロ〜ンとしてきたなとは思っていたが、ついに頭がカクンと後ろに仰け反った。元の体勢に戻っても、うつらうつらした表情は変わらない。
「だってキミの話、長いんだもん〜・・・ふあぁぁぁ」
と、ピアスは大きく欠伸をした。
(夜の時間帯はあんなに元気だったのに。ネズミって夜行性なのかな。)
パロマはクスッと笑い、眠たげに眼を擦るピアスを観察した。
「俺、いっつも眠くないのに、どうしちゃったんだろ。ねぇ、コーヒーってまだある?」
「時間があるのでしたら、少し眠ったらどうですか?簡易ベッドがありますから、すぐに準備しますよ。」
「こんな所じゃヤダなぁ」とピアスは左右を見渡した。寒いし狭いし床は固くて冷たいと、入ってきた当初にボヤいたまんまが表情に出ていた。
それでも目をこするピアスの為に、パロマは以前使っていたベッドの準備をする。ちゃんと日干しはしていたので、久し振りに出しても埃臭くはない。ここで寝泊まりをしていた頃を懐かしく思いながら作業していると、その姿をうつらうつらと眺めていたピアスが口を開いた。
「でもさぁ、あの街に行かなきゃいけないんでしょ?普通の女の子でも行きたがる子がいたんだね。・・・あっそっか。キミは普通じゃないんだっけ。」
ピアスがトコトコとパロマまで近づき、出来あがりかけたベッドに頭をコテンと乗せる。その重みで羽布団がフワッと沈んだ。
「オールドソーンズの事ですか?何だか大々的な事業だとは聞きましたが、私も詳しくは知らされていなくて。」
「ふぅ〜ん、そう・・・」
ピアスは興味無げにそう答える。相当眠いのか、目が半分しか開けていられない。しかし、急に投げかけられた言葉が気になって、パロマはピアスを揺すって起こした。
「普通の女の子が行きたがらないって、オールドソーンズってどんな所なんですか?」
グラグラ揺すられて、不機嫌そうにピアスが瞳を開けるが、それでも8割位しか開けられなかった。それも、すぐに閉じそうになる。「ピアスさん!!」とパロマはさらに強く揺すった。
「うぅ〜・・・フツウだよ、フツウ〜・・・ちょっとお店やステージで、女の子も売っている位で」
「え・・・?人が売り物なんですか?!ピアスさんっ待って、まだ寝ないでっっ」
「すぴぃぃぃぃ〜・・・・」
爆弾発言を残して、ピアスは幸せそうに寝てしまった。枕に顔を深く埋めて、全く起きる気配が無い。
「・・・・・ど、どういう事かしら・・・」


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