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「ブラッド、ちょっと良いか。この前オールドソーンズを視察しにいった時に気になったんだけどよお―――」
最も悪いタイミングで、ブラッドの右側に寄って来たエリオットが話しかけた。真面目な話を持ち出したのに、ブラッドの米神がピクリと動く。


「私に話しかけるな。目障りだ、今すぐ死んで詫びろ。」


ブラッドの脳内がどうなっていたかなんて全く想像していないエリオットは完全被害者だ。
支給係が息を顰めて停止状態に陥った中、エリオットはブラッドの胸を貫く辛辣な言葉に、返す言葉を失っていた。それにはさすがに同情したアリスが「ちょっと、大丈夫?」と救いの手を差し伸べる。
しかし、アリスの気遣いもむなしく、ここでも絶妙なタイミングでいらぬ横やりが飛んだ。
「あ〜あ〜、ウサギちゃんはママのご機嫌をそこねちゃったんでちゅか〜。」
「あははっ言うね〜兄弟。」
双子達だ。
パロマが姿を消して退屈していた矢先に、エリオットの失態。何をしたのかまでは知らないが、ここを弄らずして何処を弄る。
ケーキをホイホイ口に運びながら、声高らかに二人で内緒話をする。
「見てよ、あの捨てられた可哀想〜な顔。オツムが弱いからしょうがないのにね〜。」
「生きる価値無しだな。」
エリオットの後ろにメラメラと怒りの炎が燃え上がる。
その姿にアタフタと慌て出したアリスの隣では、平然と紅茶を飲むブラッドが。
こんな場面には慣れた支給係達は、卓越した連携プレーでテーブルの食器を素早く片付けていく。
書類を手にして屋敷から戻ってきたパロマは只ならぬ空気に包まれた茶会に気付き、顔色を悪くして必死にエリオットまで駆け寄ったが・・・時既に遅し。


「ふっっっざけんな!クソガキ共おおおおお!!!!!!」


エリオットの咆哮が地鳴りを呼び、
和やかなムードだった茶会は言うまでも無くタイムアップとなった。



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