24
無いとは思いたいが、あの女のアリスに対する禍々しいまでの愛着が、ねこそぎ自分へと向かってきたとしたら・・・


ブラッドの頭の中で、遠くて黒い点だった何かが猛スピードで走ってくる。
その早い事早い事。
ぜぇぜぇ肩で息をしているパロマは、可愛さのカケラも感じられない血走った眼で、ターゲットをロックオンした。
『ボス――――!!!!』
今までに無い怪力でタックル仕掛けようとしている仕草は、まるで熱血男児の様だ。ドン引きのブラッドは頭の中でもそのタックルをスルっと回避する。
その勢いのままズベーっとすっ転び再起不能になったかと思いきや、額に擦り傷を作りながらも果敢に立ち上がり、清々しい笑みを向けてくる。
『避けちゃ駄目じゃないですかっ!私の愛情をっっ!!』


―――う・・・っ


頭の中でも気持ち悪げに真っ青になっている筈なのに、パロマはめげずにグイグイと距離を縮めてくる。
『どうしたんですかボス?お顔の色が優れませんよ??お仕事のし過ぎ???本の読み過ぎ????紅茶の飲み過ぎかしら?????』
(お前のせいだ)
『ボスが倒れたら私っ生きていけません!一分一秒だってお傍を離れていたくないんです!!』
パロマはキャー言っちゃった、と言って身体をクネクネくねらせた。
『こんなに大勢をまとめているんだものお。疲れちゃいますよね〜。でもっ、それでも頑張っていらっしゃるんですから、凄いです!』
褒められても全然嬉しく無いし、逆に黙れと思う。舌ったらずで喋られると語彙力が乏しく見えるだけで、何の興味も沸かない。
『しかもあの銃さばき!この前なんて、デモ隊を一瞬で始末してしまって、私達の出番なんてありませんでした!』
話が仕事の中身に逸れて行くと、何だか他の誰かとイメージが被ってくる。
この尊敬の余りキラキラした眼差し、鼻息の荒さと言ったら・・・
『やっぱお前に付いてきて良かったよ!ブラッドってマジでスゲェよなっ!』
想像上のパロマの頭にニョキニョキとオレンジ色のウサギ耳が生えてきた。




―――ウザい・・・・ウザすぎる







prev next

300(348)

bkm


top

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -