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シィ〜ンと静まりかえる、茶会。
他の給仕に就いていた者達の動きも一切が止まった。
双子の苛めに対して、パロマが優位に立つ事態は未だかつてありえなかった。
誰もが動きを止めて、今までに起きた事がないその先を見守る。真顔になった双子は人慣れしていない野生動物の餌付けに目覚めたのか、今度はダムがチョコレートのたっぷりかかったマシュマロをフォークで刺して、パロマの口元に持って行く。パロマ側も警戒心たっぷりに上目使いでダムを見ながら、恐る恐る口を開けて、パクっと目の前の好物を頬張った。
カラ―ンと金属の硬質な音が響いた。
エリオットが持っていたフォークが手から滑り落ちたのだ。食べるのに集中していた筈が、3人のやり取りから目が離せなくなっていた。
パロマはというと・・・
(何これ・・・美味しいっっ)
甘い誘惑の虜となってしまっていた。
スポンジはフワフワで、マシュマロはトロリと蕩けて。二口食べたら、もう我慢が出来ない。
人慣れしてなかった筈なのに、給仕用のトレイを脇に置いて膝を折ってしゃがみ込み、終いには二人に向けてア―ンと口を開けて待ちだした。そして、ご機嫌を伺うみたく、二人をじぃ〜っと見詰める始末。


ガタッ!!


明らかに、双子に動揺が走った。
二人して慌てて席を立ち、可愛らしい仕草のパロマから距離を取る。
「なっなな何待っているんだよ!これ以上は何もないからな!!」
「そっそそそうだぞ!!ここにいられると邪魔だからあっち行けって!」
等間隔でパロマから離れた二人は、戸惑い方までそっくりだ。
もう貰えないと分かるとパロマは明らかに肩を落として、クルリと向きを変えターゲットを探し出した。
前にもお慈悲をくれたエリオットに、涙目になりながらおねだりの視線を送が、ビクッと肩を震わせたエリオットは、ムースの皿をパロマの目線から遠ざけた。
「こっち見んな!!何にもやらねぇぞ。」
シッシッと威嚇されて、パロマはまるで飢えた野良犬扱いだ。真っ赤になってギャーギャーパロマに怯える彼らを、ブラッドはあたかも見下した感の胡乱な眼で見やった。


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bkm


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