09
パロマが離れてくれてほっと一息、やっと立ち直った双子はタッタッタと現場まで駆けて行くと、そこにはパロマにギューギューと抱きつかれたアリスがいた。蛇に捕獲された小動物の如く、身体を捩っても捩っても逃げらていない。
久々に会えた反動のせいか、ニコニコしながらアリスに頬ずりするパロマ。その半面、ベタベタされるのが鬱陶しいアリスの方はすぐに頭の線がブチっと切れた。
「あんたうざったいのよ―――!!!」
アリスの渾身の拳骨がパロマに炸裂。
パロマは痛そうに呻きながら頭に出来たタンコブを両手で押さえた。
「うぅ・・・ア、アリス。何でそんなに暴力的に・・・。」
元いた世界では、パロマが抱きつくとやれやれと顔に苦笑いを浮かべながらも優しく抱き返してくれたアリス。アリスをこの世界に連れて来た白ウサギ、ペーターからの過激なスキンシップのせいで、パロマの素早さと同様アリスの凶暴性も格段にレベルアップしていた。
追いついた双子が涙目のパロマを無視して、朗らかに笑いながらアリスに寄りつく。
「お姉さ〜ん!いらっしゃい〜。」
「中々会いに来てくれないから寂しかったよ。元気だった?」
パロマがアリスにこっ酷くあしらわれるのはいつもの事なので、パロマが蹲っている位じゃ誰も気にしてくれない。双子はパロマには見せた事も無い愛敬溢れる仕草で、アリスの両側にひっつきじゃれ出した。
「お姉さん、荷物持つよ。ああっ、これって僕達にお土産?」
「ええ、そうよ。お茶の時にみんなで食べましょ。」
「やったぁ〜!じゃあ仕事なんてしていられないよ!すぐ行こすぐ行こっ!!」
ディーが勝手にアリスの籠バッグに掛かったナプキンを捲って中身を探り、ずっど歩き通しで疲れているだろうに、ダムがさらに早く歩ませようとアリスの腕を引っ張る。近くにいるパロマは気が気ではなかった。
「ちょっっちょっと、二人共!アリスは私に会いに」
「はいこれ。パロマは荷物持って。」
アリスと双子の間に割って入ろうとした所、荷物とついでに罠まで持たされ、フラフラしている隙に、三人とはどんどん距離を離されてしまった。必死で追い付こうとするが、さらに早歩きにされてしまう。
「??ディーもダムもどうしたの?何か急ぎ??」
「ん〜ん?お姉さんは気にしないで〜。」
ニコッと笑ったディーがさらに先へと促す。チラリと後ろに視線を向ければ、重い荷物にアタフタとしたパロマが必死についてきていた。双子はお互い目を合わせてニヤリと微笑む。
「お姉さんは僕達といた方が楽しいよね〜?」
「そうそう。お姉さんにだ・け・は、こ〜っそり僕達の秘密の宝物も見せてあげるよ。」
「何なのあんた達、いつもと態度が違くない?ちょっ腕まで組むの?!パロマが置いて行かれたって顔をしているんだけどっ。」
さっさと歩く双子に連れられて、アリスは屋敷の門を潜る。もっとアリスに寄り添っていたかったパロマはガックリ肩を落としながら、トボトボとその後に続いた。



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