03
この二人は、トゥイードル=ディーとトゥイードル=ダム。
この帽子屋屋敷の門番を任されている、双子の兄弟だ。
容姿が瓜二つで、制服と目の色の違いがなければ、二人の見分けは全くつかない。
常にギラッと光る斧を携帯している、アブナイ兄弟だ。
彼らの仕事は門の警備だから、それを見せつけて訪問者を威嚇しているのだと思いきや、本当に振り回して追い立てている。
しかも、ワザと当てたり当てなかったりして楽しんでいる、真の狂人達だ。
その二人は何を思ったのか、最近入ったばかりの新人パロマに目を付けて、手の込んだ悪戯を仕掛けてくるようになった。
最初は斧でビビっていたパロマだが、ちょっかいの度が過ぎるので、道徳的に許せなくなっていた。
しかし、パロマが怒れば怒る程、双子の悪ふざけも加熱して止まらない。
「落ち葉を拾う暇があったら、仕事をしなさい仕事!しかも拾ったんだったら落ち葉は私に渡せば良いでしょう!」
「なんで僕達が、奴隷なんかの手伝いをしなくちゃいけないのさ〜。」
「パロマのくせに、一端の説教をたれてるよ。どうする?兄弟。」
二人はギラつく斧を、パロマにチラつかせた。
ギクッとして、彼女は一歩後ずさる。
ニヤニヤしながら、二人はサッと木から下りてきた。三人は無言で間合いをはかる。
最初に動き出したのは、パロマだった。
「きゃああああ!!」
「待てよっパロマ―!」
「奴隷のくせに生意気だぁ!!」
二人は斧をグルグル回しながら、逃げ惑うパロマを追う。
すると、二人の斧が干されたシーツにかすり、スパッスパッと綺麗に切れてしまった。


「ああっ!!!」
「「!」」


三人は立ち止まって、その光景を見た。
パロマは背中にメラメラ炎を燃やし、二人に振り返って睨みつける。
「くぉのおおお!!!二人とも待ちなさあああい!」
「ブワハハッ!パロマが怒った!」
「逃げるぞ、兄弟―!!」
今度は追いかけっこが逆転した。
パロマは鬼の形相で、二人を追い掛け回していたが、辺りが突然暗闇に包まれ時間帯が夜に変わった事にハッとした。
「あぁ!!!庭掃除が終わってないのに!しかも落ち葉が異様に増えているし!!・・・・シーツは破けているしぃ〜・・・」
パロマはガクッと項垂れて、シクシク泣きだした。


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bkm


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