02
ブツブツ文句を言いながら、シーツをパンパン叩いていると、急に辺りが夕暮れに包まれた。


そう、この国はどうやら時の流れがおかしいらしい。


最初に気付いた時は、あまりにビックリして、与えられた小部屋のベッドで丸くなって震えていた。
同僚がお節介な事に、パロマが部屋から出て来ないとエリオットに知らせたらしく、怒り狂った彼が、力任せにパロマをベッドからひっぺ接がした。
『時間が不確定』と言う衝撃的事実は、誰に聞いても当たり前の様に話すので、どうやらそこに矛盾を感じているのは、パロマだけだった。
それだけでも、ここが元の世界ではないという事実を、パロマに重く知らしめてくれる。
「あっ!早く次の仕事に取り掛からないと!」
夕方の時間帯になったら、今度は庭の落ち葉掃除をしなくてはならない。
パロマは、いそいそと箒の準備をする。
慣れてきたとはいえ、まだまだ任された仕事が、きちんとこなせてないパロマだった。
ここでも、鈍くささが発揮されてしまっている。
たまに見回りに来るエリオットに、いつもきつく叱られっぱなしだ。
彼女は急いで庭を箒で掃いていると、上からハラリハラリと落ち葉が落ちてきた。
すると、ドッサーっと尋常じゃない量の落ち葉がパロマの上に降りかかった。


「くっくっく、パロマのやつ、これでさらにただ働きだね、兄弟。」
「奴隷期間の延長申請出しておかなきゃな。ま、こんな働きっぷりじゃあ、一生奴隷なんだろうけどね、兄弟。」


大木の上から、クスクスと笑い声が聞こえる。
パロマはムカムカしながら、自分にかかった落ち葉を手で払った。


―――そう、私の仕事がはかどらない理由の一つは、何を隠そうこの二人・・・


「くぉら―――!!!ディー!ダム!!何するっ・・キャッ・なっ何?!」
肩を払っていた手に、何かグニっと柔らかい物があたる。
落ち葉に付いた毛虫が、パロマの手に乗ってもぞもぞと這っていた。
「いやあっ!!!毛虫っ毛虫!!!!」
虫が苦手なパロマは、両手をバタバタと動かして、まるでタコ踊りだ。
「ギャハハハ!!」
「すっごい顔してるよ!すっごい顔!!」
パロマのパニック振りを、二人は枝から転げ落ちそうな位、お腹を抱えて笑っている。
「そのまま落ちちゃえっ!地面に転がっちゃえば良いのよ!!」
パロマはあまりに頭に来て、二人が乗っている木にガンガン蹴りを入れた。
「はっ腹痛い〜。木を蹴ってさらに落ち葉を落として、自分で仕事増やしているよ。」
「アハハハッ、案外毛虫を、また肩に乗せたいんじゃないの。」
二人はまだゲラゲラ笑っている。


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bkm


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