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・・・・・・



無言の時が、重くナイトメアを刺す。
「・・・・。」
唯座っているしか出来ない状態に神経が限界に達し、身体が小刻みに揺れ出す。
「・・・・・・・・。」
相手にだってそれが伝わっているであろうに、それでも尚、この静寂に包まれた仕打ちから解放されない。ナイトメアもそれを強いられる理由は十二分に身に覚えがあるので、ここは下手に反抗してはならないと思い、この苦痛に耐えているのだが―――
「・・・・・・・・・・ぅぅ〜ッ」
いつ終わるとも分からない、この拷問。
膝の貧乏揺すりがさらに酷くなり、堪えきれず苦悶の息が漏れる。
ナイトメアにとって、非常に重苦しい空間がそこにはあった。
固い作りのテーブルを挟んだ向かいに座るはユリウス=モンレ―。彼の夢が始まって、これまた座り心地の悪い固く冷たい椅子に腰を下ろしてから、一体どの程の時間が経過したのだろうか。自分だって座り通しなのは辛いだろうに、ユリウスは眉ひとつ動かさず終始無言を貫き通す。
そろそろ目覚めても良い位な時は耐えた筈なのに、景色が霞む気配も無い。
(く・・・っ!い、息苦しいっ)
息をする空気も、冷気を含んで鼻の奥に突き刺さる。
ユリウスは目を閉じているのに、冷酷に睨んでいると錯覚を覚える。それ程、沈黙の怒りを全身から漲らせている。ここでおちゃらけようものなら、瞬時に凍結させられてしまいそうだ。
(誰の夢よりも重く刺す様だ・・・。ああっ辛い!今すぐ逃げ出したい!!!)
しかし、逃げられないのは、誰よりもナイトメア本人が分かっていた。
そしてこの無音状態でいるのも、限界に達していた。
「い、いや〜・・・・・・・ハートの城も・・・やっと落ち着いたよう、だな。」
ナイトメアは一番どうでも良さそうな会話を選ぶ。
相手はピクリとも動かない。
沈黙を破る為ならと、ナイトメアは次々と言葉を重ねる。
「一時は瓦礫撤去作業で騒然としていたらしいではないか。床から天井、あの部屋のシンボル的な6体の甲冑に至るまで破損状態が酷かったらしな。」
ユリウスは聞いているのか、いないのか。焦りを覚えたナイトメアは空回りする世間話のスピードを速める。


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bkm


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