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それこそ『役持ち代表』みたいな上から目線でもの申すナイトメア。傷口を深く抉るだけで全然全く慰めになっていない事に、気付けない。
慰めるという行為が悦に入り、そして己の知識量を見せびらかす事によって、相手が今まさに、どんな心境でいるかなんて全く意に介してはいなかった。そして更なる見当違いな励ましの言葉を連ねる。
「そもそもだな〜、あんな癇の虫の集合体みたいな女の何処が良いのだ。この前なんぞ、両手に極大グローブを嵌めてブンブン振り回しながら襲ってきたぞ。あの般若の顔。思い出すだけで身が凍る。」
何かゴソゴソと探し始めたナイトメアは、自分の後方にいる男がどういう表情をしているのかも気にしない。
「どこの書物だったかな?あ、これか??」と記憶を探り探り、次々と俗世の情報誌を生み出し地面にばら撒いていると、


カチャリ


聞き覚えのある、何かをセットする音が耳に入ってきた。
「お・・・おいおい。・・・・早まるなよ・・・?」
ピタッと銃口をナイトメアに向けるボリス。獲物を狙う瞳が鋭利に光る。
やっと見付かった『ダンディズムジャーナル』が手から滑り落ち、バサッと地面に広がった。
「面白くないんだよあんたの話。あんたに、アリスの、何が分かんの。」
ナイトメアはボリスの踏んではいけなかった地雷を、グリグリと踏みにじった事にやっと気が付いた。
「逃した女を庇うとは、お前も器量が大きいな。」
そして、思わず出た言葉は弁解のチャンスを尽く奪い去った。
「あんたの夢は楽しかったから、もう見れなくなるのは残念だ」
「けど」と続け様にガウンガウンと銃を発砲した。
ちょっと予期していた事もあり、夢の中という有利の立場でナイトメアはヒラッと高く飛び立った。
そしてグングンと飛翔し、凶暴化した猫からかなりな距離を開ける。
「コラあああ!空飛ぶな卑怯者!!下りて来い!俺の爪で八つ裂きにしてやる!!!」
「私の逃げ足だって捨てた物ではないだろ?」
「ふっっざけんなああああっ!!!!」
ボリスが遥か下から銃を連発するが、ナイトメアはそれをヒラリヒラリと難なく回避する。


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bkm


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