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「うぷ・・っ、招待はありがたいが、少し席を外しても、良いか。」
「何言ってんだよ。せっかくの飯が冷めちまうだろ。ちゃっちゃと食おうぜ。」
ちょっと席を立とうとして、両肩を押されて戻された。この場から離れられないとなると、料理に対する嫌悪感がさらに増す。
「黄色とか、赤とか、緑とか!!兎に角野菜全般が大っ嫌いなのだ!こんな所に一秒だとて座っていたくはない!!特にこのオレンジ!!何でこんなに山盛りっ・・うぅおぇぇっっ」
吐きはしなかったが、絶えず不愉快な嘔吐感がナイトメアを襲ってくる。視覚にも臭覚にもこれ以上耐えられそうにない。それなのに、
「ああ?あんた食わず嫌いか。味は保証すっから試しにちょっと食ってみろよ。マジでこれとかうめぇから!これなんて、しょっちゅう食っても飽きがこねぇ旨さでさ」
エリオットは詳しい料理の説明をしながら、ちょっとと言ったくせに、ナイトメアのお皿に次々と大盛りの人参料理を乗せて行く。さらに逃げられない雰囲気になってきた。
「む、無理だっ匂いだけでも死にそうだっ!見ろこの鳥肌を!うっうっぷ・・・い、いかん!これはいかん!これは人間の食べ物では無い!有毒物質だ!こんなもの口にしたらむぐ!!」
「良いから良いから」と、スプーンにこれまた大盛りに掬われた野菜だらけのオレンジ色したマッシュポテトを強行的に口一杯に詰め込まれた。途端に野菜独特の青臭さが口の中に広がる。
「ううっ!!うぅぅぅぅう!!!」
「吐くんじゃねえ。」
一気にエリオットがマフィアの顔になった。
――――ゴク・・・ン
余りにエリオットが怖過ぎて、思わず噛まずに飲み込んでしまった。さすがは悪魔城のNo.2。ちょっとドスを利かせただけで、太陽光がどす黒く遮断された。
しかし、ナイトメアは飲んだら飲んだで、今度はすべてが胃から喉へせり上がってきた。だが吐くなと脅され、両ほっぺがドングリを蓄え中のリスの方に様にプックラと膨らむ。
エリオットが素直に呑み込んだのを見届けて、威嚇せんばかりに睨み付けていたのをカラッと笑顔に変えた。
「それで良いんだよ。遠慮しねぇでどんっどん食っとけ。これなんかも旨いぞ〜。」
驚異的な太さの人参スティックを持たされる。どれ程手塩をかけて育てたら、こんな大根並みの太さに育つのか。
社交的に一口食べたのに、上から睨んでくる男が解放してくれない。
まさか、皿に盛った料理は綺麗に平らげないと気が済まないタイプか。
ナイトメアと吐き気とのサドンデスゲームが始まった。





助けてくれぇぇぇ・・・・・・っ



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