12
美味しい空気、肥沃な大地の匂い、澄み渡る青い空。
芽吹いたばかりの緑豊かな平原が果てしなく広がり、遠くには山頂を白銀で覆った連邦が連なる。
「よっっっしゃあっ!!!やっっと俺の番が回ってきたか!!!」
これが夢の中なのだから、それが夢みたいだ。
ナイトメアの隣で、エリオットが拳に力を入れて思いっ切り叫ぶ。
「・・・お前の夢は、毎度毎度の事ながら・・・スケールがでっかいなぁ〜・・・」
「おっ、あったあった!あそこだ。早く行こうぜ。」
エリオットが指差した方向には、最も見晴らしが良さそうな地にテーブルと椅子の準備が出来ている。颯爽と歩きだしたエリオットの後にナイトメアが続く。
「ここに来ると常に思うが、この清々しいまでの開放感。マフィアの幹部が見る夢とは到底思えんな。もう少しこぅ、仕事の為にも双子の不健全さを見習ったらどうだ。」
「別に良いだろ。俺の夢なんだから。他人なんざ関係ねぇよ。」
確かに、この男が他者に流されるとも思えない。やる事は常に己の考えに基づき、一本筋が通っている。
ナイトメアは「ほお〜」と呆れ半分で、前を進む男の後をゆっくりと追う。
葉に残る滴に日の光が反射し、キラキラと輝く。
足元を埋め尽くす草花を踏み分けながら、二人呑気に語り合う。少し歩けば目的の場所にはすぐに到着した。
「すっげぇ!やっぱ今回も豪華だな!!どういう仕組みになってんだこれ。」
テーブルの上には隙間が無い位に埋め尽くされた料理の数々。
「まっ眩しいっっ!マズいっ日差しがジリジリと肌に照りつく!!日陰っ早く日陰を探さねば!」
それよりもナイトメアは太陽光が気になるらしい。すぐさま大木の側へと非難した。
「おおっこれだこれ!この前出来たばっかの店の時間帯限定モン!何だよなぁ限定って。ずっと出しとけっての。」
一つのお皿に乗ったオレンジ色の蜜の掛かった揚げドーナッツを発見し、エリオットが喜びの声を上げる。
「ああ、そうだ。あれがあったな。サングラス〜に、日除けに、椅子も必要だな。」
テキパキと自分用に準備をし出すナイトメア。
「外せねェ仕事っつうのも考えもんだな。ま、雑魚がちょこまかと逃げやがったのがいけねぇんだけどよ〜。あっ!!あれもあんのかよっ!何だっけ?ナントカカントカっつぅ料理!!」
「いや待てよ・・・今回は椅子では無く、贅沢にハンモックでも拵えてみるか。・・・良い!我ながらナイスアイデアではないか!!」
「名前長ぇんだよな〜。喉まで出かかってんだけど。これ作ったコックが一度で作り方忘れちまったなんてホザきやがったからな。あんときゃ頭ブチ抜いてやろうかと思ったが、ここで食えんならまぁいっか〜。」
「ハンモックッ。ふふふふ。まずはもう一本木を植えてだな〜。あ、そうだ。この前読みかけの本も出さねば。―――ん?」
「「何か言ったか?」」と後ろを向き合っていたエリオットとナイトメアが、同時に顔を見合う。お互い、ちぃ〜っとも相手の話を聞いていない。


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