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(・・・ま、終わり良ければすべて良し、なのはこいつ等も一緒か。)
ナイトメアが瞳を閉じて、フと笑った。
「それで?何処で行き詰っているのだ。場所は裏庭だったか?」
そこへトコトコと武器の合間を縫って、ホワイトカラーのポーンが姿を現した。
「おおっ!こいつ久々の登場だな。」
すぐに気付いたディーがポーンの頭をピンと小突くと、ポーンはその場でビクッと震え上がって、トットットと走りコーヒーカップの裏に隠れた。チラッと覗いて、また隠れる。
「ほら。甘ぁい角砂糖やるから出て来〜い。」
ダムが置いた四角い砂糖に興味が引かれたのか、ポーンがそろりと顔を出した。
すかさずディーが砂糖の前にコーヒーをタラリと垂らす。
「だからさ、洗濯ポールの下に泥水仕込めば、結構な確率で嵌るんじゃない?あいつ、足元疎かだろ。」
ソロソロと周りを伺いながら現れたポーンは、目の前に広がったコーヒーの池に気が付き、ヒョイッと横に逸れた。
「これじゃあ見え見えだよ。嵌っても靴が汚れる程度だし。やるなら何かで滑って転ばせないと。う〜ん・・・何か良い案ないかなぁ〜。」
もう少しで角砂糖に届くという所でナイトメアに摘ままれ、またスタートラインにまで戻されてしまった可哀想なポーン。
「それならば、ポール手前に龍の髭の先を縛った罠を仕掛けておくのだな。それに引っ掛かればバランスを失う。泥水もそうと分からせないカモフラージュが必要だろうな。」
ナイトメアがコーヒーの池の前にマドラーをそっと置いた。甘い物欲しさにまたヒョコヒョコ砂糖に近づいていたポーンが見事にマドラーでつっかえ、おっとっとと結局コーヒーに埋もれる。純白の身体が見る見る琥珀色に染まってしまった。
「ついでに、泥に落ちたと同時に小麦粉が降ってくる仕掛けもしておくと、尚の事滑稽な顔に仕上がる。」
酷く汚れたポーンに、今度はスティックシュガーが降り掛かる。
悪戯に関しては、ナイトメアも容赦が無い。どぉだ!とばかりに二人を見やると、
「良いんだけど・・・でもなぁ〜。あんたの話を信用すんのもどうだろ。この前、森中落とし穴開けて失敗しちゃったからな。」
「あれはしくじった!手間暇掛けた割に、全然面白く無かったよね。ボスにもたっぷり絞られたし。」
彼等は余り乗り気では無かった。
この双子、夢の中でナイトメアと一緒に、ポーンを相手にパロマに仕掛ける悪戯を試していたのだ。ポーンが二人の姿を見てすぐに逃げたのは無理も無い。
「めったやたらに開けろとは進言しなかったぞ!それよりもお前達、私が一枚絡んでいるのは、パロマにバラしてはいないだろうな・・・?」
その言葉で、双子が場に合った悪どい笑みを浮かべる。
「もちろんさ。」
「何て言ったって僕達は共謀者だからね。」
「だから」と続く言葉は二人同時に口にした。
「「あんたも僕達を裏切らないでよ?」」
池から未だ立ち上がれないポーンの頭をディーが指で優しく撫でて、さらに白い部分に塗りたくる様にコーヒー塗れにした。
ろくでなし三人衆は、闇の中でシッシッシと人相悪く笑い合った。


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