07
「余所者だからと図に乗るなよ?人に物を尋ねるのに、何だこのシチュエーションは。私にかかればこんな夢・・・・お、おや?」
夢の場面が変わらない。
さらに眠りに就いた兵士がいるのか、道の両脇の騒ぎがひどくなっている。一人では何も出来ない癖に、群れると気ばっかり大きくなるのが煩わしい。しかし、この人数の夢を一気に変えるのは一苦労だ。ハッと気付くと、自分の頭の上に突如ライフゲージの表示が現れた。
(これは・・・マズい!!)
「君も知っているだろう?パロマの底なしの不運さを!!石があったら躓くし、穴があったら落ちるのだ!あいつにとったら自然の法則、万有引力だ!」
「塞いだのか、塞いでないのか。それを、聞きたいのよ。」
役持ちの威厳は何処へやら。ナイトメアはどうにかして責任転換を試みたいのだが、アリスには効かない。ナイトメアは必死だ。己とアリスの頭上にあるゲージの数値を何度も何度も確認する。それがあまりにも違い過ぎたから。しかもまだまだアリスのゲージは伸び代がある。と、思ったら、周りの兵士達が自分のライフをせっせとアリスに譲っていた。
―――あいつらか!!!!!
口をガクガクと戦慄かせていると、「どうなの!」とアリスが答えをせっついてきた。
「あっあれはそう!掘ったのだ!!あいつが君会いたさに無我夢中で!!!何処かでまだ繋がっていたのだろうなぁ。きっとぬかるんでいて掘り易かったのだ!」
「冗談言わないで!!!」
アリスのアッパーが見事に炸裂。ナイトメアがスローモーションになって後ろに倒れた。
「君は女だろうっ!!そんじょそこらの役持ちよりも凶暴だってどう言う事だっ!」
声が悲鳴に近かった。ナイトメアのゲージが一気に半分赤く染まる。
「なら、女の子らしくしているから、真面目に話して。良い?二度はないわよ?」
女の子らしくない脅迫まがいな事を告げて、またもやグローブ同士をバシンと合わせた。ナイトメアの喉がゴクンと鳴る。
「じ・・・実は、ゴーランドから君が居なくなって非常に寂しいからと、余所者追加の要請があったのだ。私は何度もそれは止めておけと忠告したのだが、幻のゴールドフリーパスポートを無理やり握らされて」
「ウソ仰いいっ!!!!!」
アリスの右フックが強烈にヒットした。観客から「もっとやれ」コールが木霊する。
「コラお前達!夢の中なら私を応援して然るべきだろう!!」
ライフを三分の一に減らしたナイトメアが、群衆に向かって叫ぶ。それに対して、ハートの兵士達は全員突き出した親指を下に向けてブ―ブ―とバッシングする。
「私が遊園地に行きづらくなっているからって、言い訳にゴーランドを使うのは卑怯よ!あの子と遊園地なんて何の接点も無いじゃない!私の眼は節穴じゃないわよ?!ああっ!!ちょっと待ちなさいよ!逃げられると思ってんの?!」
クルッと背中を見せたナイトメアの衣服の端を、グローブで何とか捕まえて両腕で抱え込む。ナイトメアの男らしからぬ行動に、野次が飛んだ。


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bkm


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