05
「宝石位は自分で何とかしたらどうだ、ビバルディ。一国の女王なのだから、ポケットマネーでしこたま買い漁るが良い。」
ナイトメアは扱く当然な事を言っているのに、反抗されると思ってはいなかったのか、ビバルディの髪がシャーシャーと牙を向くヘビに変わる。
「何じゃと?もう一度、ほざいてみぃ。」
「やります!!」
簡単に屈したナイトメアが、「え〜っと、これがサファイア?これがダイヤだったか??」とブツブツ呟きながら内職を再開する。ナイトメアが地道な作業に没頭しだすと、ビバルディの機嫌もコロッと良くなった。
「そうじゃのう。ありきたりの宝石は見飽きたわ。おぬしの力で石と石の性質を組み合わせて、新たな鉱石を生み出せぬか。」
は?と高速で顔を上げたナイトメアの瞳に映るのは、自分のちょっとした思いつきが思いの外妙案だと目を輝かせたビバルディの空恐ろしい微笑だった。
「輝きは不純物の無いダイヤモンドの透明度で、コアの部分にはゴールドパールを埋め込み、アメジストを散りばめる。ふむ・・・我ながら良い案ではないか。この子の瞳用に大至急作るのじゃ。」
――――はい???????
ナイトメアは自分の下顎が、地面にまで届いてしまったのではないかと錯覚した。それ程開いた口が塞がらない。
そんな無理無理の注文、聞いた試しが無い。
ダイヤモンドにパールにアメジスト。どこをどうすれば一粒の石に纏まると言うのか。
しかしビバルディはナイトメアを世に二人といない腕利きの宝石職人とでも思っているのか、腕組みをして上からすさまじい圧力をかけてくる。
目が言っている。「早 く し ろ」と。
職人の腕の中で、愛くるしいヌイグルミが職人と一緒にブルブルと震える。
ナイトメアは心の中で、切に、切に、願った。






(早く、兎に角早く、夢から覚めてくれ・・・・)







prev next

227(348)

bkm


top

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -