04
「きゃああんっかーわーいーい〜!!」
ベビーピンク、ベビーブルー。
「こっちも愛くるし〜い〜。一つになんて決められな〜い。」
スノーホワイト、クリームイエロー、ライムグリーン。
ナイトメアが「うげっ」っと顔を顰めた。
「おぬし!ボサッとしておる場合では無い!手が動いておらぬぞ!!至急黒い耳バージョンも作るのじゃ!!」
「あ〜・・・はいは〜い。」
ここはビバルディの夢の中。
どこもかしこもパステルカラーに染まって、愛らしいヌイグルミ達に囲まれた彼女がいる。
虎ジマのベンガル猫、
つぶらな瞳のマンチカン、
耳がちょこんと垂れたスコティッシュフォールド。
どれもが生まれ間のない子猫仕様だった。いつもの口調が少女のものへと様変わりしたビバルディは、その内の一体を抱いて頬ずりしている。
「いやぁん、部屋に持って帰りたぁい!」
そして、一段低い位置で地味にコツコツと作業しているナイトメアにクルっと振り向く時は、いつもの血の凍る様な冷酷な表情に変わっている。
「ここにあるすべてをわらわの私室に運んでおくのじゃ!!何を手古摺っておる!直ちにやらぬか、このうすのろめ!!この子の尻尾はもっとふっさふさにせい!それから―――」
出てくる声も、何オクターブ違うのだろうか。まるで女から男に、性別さえも卓越してしまったかの如くの変貌振りだ。
ナイトメアは山と積まれたヌイグルミを見渡してゲンナリした。
内職だ。
注文の多い取立人が目の前にいる強制的な内職だ、これは。
「休むな!おぬしが時を刻む価値等それ位しかないのだから、早く取りかかるのじゃ!!」
げっっそりしながら、次から次へとヌイグルミ達を量産するナイトメア。すると、その内の一体を頬ずりしていたビバルディがハッと何かに気付いた。
「こっこれは!この瞳はガラス玉ではないか!!こんな粗末な物を埋め込むでない!!すべて作り直せ!!!」
可愛がっていた子猫に興味を無くしたかの様に、ナイトメアにべチッと投げる。
「それでは何が良いのだ〜女王はぁ。」
もう反抗する気も失せでゲンナリ尋ねると、
「そうじゃな・・・・この子の白い毛にはブルーサファイアが似合うかのう。この子は大粒のエメラルドじゃな。この子はピジョンブラッドのルビーの瞳が相応しい」
「なっっっナニ?!」
どれもこれも最高級品のレア物だ。それを何の変哲も無いヌイグルミ達に宛がえと、軽々しくも注文してきている。しかもサラッと口にしているが、絶対に断らせないオーラを発しているのがさらに厄介だ。


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bkm


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