01
ブリキの玩具、木の兵隊、くるみ割り人形がギコギコと身体を動かして行進している。
「何かさ〜、ずっげぇ疎外感を感じている訳よ、俺は。」
子供の誕生日パーティーの様な飾りが施してあるこの賑やかな夢は、遊園地の領主ゴーランドのものだった。原色の風船が風も無いのにフワフワと漂っている。
「何か?城の一部が突然ぶっ壊れて?ボリスが膨れっ面で帰ってきてさ。みんなぜってぇ知ってんだぜ?なのによぉ、誰も教えてくんねぇの。時計屋だってムッツリのダンマリになっちまって。まあ、あいつは元々ムッツリだけどよぉ〜。」
ナイトメアが同調する様に頷きながらその話を聞いている。・・・と見せ掛けて、心の中ではすべてを知っている優越感に浸っていた。
あの「審判の間」にいたのはパロマに絡んだ関係者のみ。遊園地にはかすりもしなかったので、ゴーランドが蚊帳の外だったのは当然だ。
「久々に可愛いアリスの顔を拝めたと思ったら、あの野郎『ああ、いたの?』的なテキトーな挨拶してくれちゃって。あいつはあれだね、恩を仇で返すタイプ?」
ナイトメアは遊園地の超絶大人気商品、『レモンチョコレートミントシェイク』をズズズっと啜る。甘いんだか酸っぱいんだかスゥっとするんだか、その微妙感が話題をさらっているらしい。
「ボリスはボリスでよぉ、アリスにホの字になったと思ったら、スコーッンと振られちまって、勝手に大人の階段登っちゃうしなぁ〜。」
「・・・・・お前が言うと、何でもコミカルに聞こえるな。」
シェイクの味に眉を顰めていると、向かいのフッカフカのソファに座ったゴーランドがズズズイと距離を縮めてきた。
「お前、それ旨い?」
「は?これを買うのに最後尾が見えない程の行列が出来ているのだろう?不味い訳あるか。」
自分の舌をバカにされたくないので、ナイトメアがさも美味しそうに一気に啜る。
「あ、それウソウソ。ホントは俺が今編み出したの。そっか、ずんげぇ不味そうだけど、旨いのか。」
今度商品化を検討すっか〜と軽く暴露されて、口に含んだ大量のシェイクをナイトメアが一気に噴き出した。瞬時にゴーランドが「うおっ!」とソファから飛び退く。
「お前きったねぇな!!」
「汚いのはお前だ!!」
と、分かり切ったひと悶着があった。
今度は正真正銘、人気沸騰中の「純度100%ピュアバニラシェイク」を怒りながらも堪能するナイトメア。ゴーランドはまた話を元に戻して、ハートの城での出来事を引っ張り出している。気になって気になって、仕方が無いのだろう。
「夢魔ちゃ〜ん。お前、知ってんだろ?可哀想な俺にも教えてくれよ。」


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bkm


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