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「随分走らせいてくれるじゃないの?疲れちまったから君の膝枕で一休みさせてよ。」
そう言いながらも、全く息を切らしていない彼らは、さらにパロマを追い詰めていく。


「そこまでだ、お前達。」


彼らの後方から、氷の様に冷たい声が響いた。

「ボ、ボス!!!」
男達全員が一斉に後ろを向いた。手前の廊下に腕を組んで立っていたのは、何とブラッドだった。
「奴隷は奴隷でも、こいつは私の専属奴隷だ。誰が好き勝手遊んで良いと言った。」
粋がっていた彼らは、直ちに姿勢を正して口を閉ざす。皆、額に大量の脂汗を掻いていた。
「はい!大変申し訳ありませんでした!!」
膝枕と言っていた彼が、ピンと背筋を伸ばして大声で叫ぶ。
「煩い。」
それをブラッドが、冷めた目で一蹴する。
「お前らの様な無様な部下等必要ない。今すぐ消え失せろ。もちろん言葉通りにな。」
ブラッドの持つステッキが、何か違う形に変貌する。
真っ青になった彼らが、ガクガクと震えながら立ちつくしていた。何が良からぬ事が起きそうで、パロマは両腕で頭を庇ってギュっと目を瞑った。


「―――とは言っても、お前らを始末してしまったら、面倒な事に他の者に同じ事を二度も説明する事になる。よって今回だけは見逃してやる。さっさと持ち場に戻って、この旨違わずしっかりと伝達しろ。お前らの様な雑魚でも、その位は出来るよな?」
パロマが恐る恐る目を開けてみると、ブラッドが持ったステッキは、ステッキのままだった。
大量に汗を掻いていた彼らは、大きく息を吐いている。
パロマさんが助けてくれたよ〜、やばい!命の恩人だ、とか何やら相談してから、
「「「「ボス、ありがとうございました!!パロマさん、どうもすみませんでした!!」」」」
そう言い残すと、脱兎のごとく逃げ去った。
後に残ったのは、ブラッドとパロマの二人のみ。パロマは力が抜けて、壁伝いにズルズルとしゃがみ込んでしまった。
(こっ・・・・怖かったぁ〜・・・・)
ブラッドがそんな彼女に、二コリと笑って話しかける。
「礼儀を知らない部下共が、失礼をした。これで心おきなく、自由に歩き回ってくれ。」
そう言うがいなや、彼は踵を返して、早々に来た道を戻っていく。


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bkm


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