02
―――数多の誘いのターニングポイント、その中の小さな分岐点でさえも自分の信念をただ只管に貫き通した。それは過酷の道だと分かっていても。思い、悩み、苦しみ抜き、身体以上に心にも多くの傷を負った事だろう。


ナイトメアは静かな笑みをたたえている。彼の周りには温かな光の粒子が満ち溢れていた。


―――招かざる訪問者に、いつの間にか世界の方が手招いていたのだな。それならば、私も言葉を改めねばならぬだろう。


突如、
無の空間が、光りを帯びた。
果てしなく遠く、そして限りなく上空まで。
激しい光に目を閉じたパロマが次に目を開いた瞬間、目に飛び込んだのは目が覚める青い色だった。
ナイトメアの上に澄んだ青空が広がり、鳥が羽ばたき太陽が光輝く。
パロマは驚いて声を発するのも忘れていた。

―――この世界へようこそ。ここは望まれる者の望まれた場所、余所者の君はすべての者に好かれるだろう。

パロマの足元にはジオラマの様な街が広がっている。緑に萌える木々、光に反射した水色の小川、赤や茶色や黄色の屋根には煙突から煙が立ち上っていた。
(あぁ、この世界は)




(世界はなんて、カラフルなんだろう―――)




突如パロマの身体は重力を思い出したように傾ぎ出した。
「えっ」
驚くパロマを余所に、身体はグングン加速を付けて落下していく。玩具みたいだった町並みも、実際の大きさを身で知るのももうすぐだ。
(またぶつかるの?!)
訳も分からず引き攣るパロマに相反して、ナイトメアは未だに微笑みを浮かべていた。
―――頑張って来た君に御褒美とでも言うか、目覚める場所は君が一番心安らげる所にしてあげよう。楽しみに待っておいで、パロマ・・・
「いいいいやああああああっっっ!!!」
パロマは屋根に頭から激突する恐怖で、目をギュッと瞑ったのだった。



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bkm


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