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強がるにも程がある。
ブラッドとエリオットはギラッと二人と睨みつけた。
パロマが失踪して誰よりも狂ったのは、何を隠そうこの二人だ。彼らの粗相のせいで事態収拾に駆けずり回されたエリオットは、怒りにまかせて銃に手を掛けていた。
「い、つ、か、てめぇ等には、あん時の態度を死ぬ程後悔させてやるからな。マジでぜってぇ許さねぇ。」
「何の事を言っているのか、さっっぱり分からないね。一丁前に僕達に喧嘩売ってんの?」
「やれるものならやってみなよ〜。そんな度胸もないくせにさっ」
いきなり剣呑な雰囲気に包まれた双子とエリオットに、訳が分からないパロマは目を白黒させる。双子も正装の中は包帯グルグル巻き状態なのに、口ばっかりは威勢が良い。
やれやれとブラッドはお子様3人を相手にしないで、椅子から立ち上がった。
「そろそろ時間だ。」
ブラッドの合図で、他の3人がすぐに口を閉ざす。パロマも思わずソファから立ち上がろうとしたが、ブラッドが「お前は良い」とパロマの行動を言葉で止めた。
「奴隷のお前はここで大人しく留守番していろ。舞踏会を覗いてみたいなんて浅はかな考えは持つなよ。これだけの不祥事を起こしたんだ。どの領土からも危険人物扱いになっているだろうから、私達の目が行き届かない間に一歩でも屋敷のテリトリーから外に出たら、その時は命はないと思え。」
ブラッドの命令に、パロマはギクウッと身体を強張らせた。
実を言えば、舞踏会には少々興味があったのだ。仕事着に着替えたし、帽子でも被ってしまえばちょっとは見に行けるかな〜なんて、軽はずみな事を思っていたパロマだった。
思惑が見事に見抜かれ、ズ―ンと肩を落としたパロマに、ブラッドはさらに追い打ちをかける。
「付け加えると、他領土の顔なし共からしてみれば、崇拝する上司をコケにコケ倒したお前は、その非礼を命でもって償わせるべき憎き仇敵でしかない。私達は各々が鍵を持ち出入りは勝手にするから、ドアがノックされたらすべて無視しろ。出入り口付近には絶対に近付くな。どんなに猫なで声を出されても、すべてがお前を喰ってやろうと狙った狼だ。分かったな?」
パロマは「はぃぃっ」とか細く返事をした。深く深くソファに身を沈める。こんな恐ろしい事はない。
舞踏会を見に行きたいなんて思った事も遥か昔の事のようだ。パロマは部屋の中で、一番廊下から遠い隅に隠れていようと心に誓った。
「んじゃ、行ってくるからね〜。美味しいご馳走をたらふく食べてくるよっ」
「お前は1人で、心行くまで反省していろ。」
双子の軽やかな皮肉と共に4人は部屋を後にした。
そしてカチリとドアの向こう側から鍵の掛った音が響き渡ったのだった。








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bkm


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