31
長い事いたぶられてから、「そんな格好では話にならない。」とパロマの頭が噴火しそうな結論を言い渡されて、やっと4人の責め苦から解放された。
先導してくれる同僚達が、オモシロ可笑しいパロマを直視しない様に気を付けながら(そうは言っても、チラチラと垣間見ては、噴き出していたが)案内してくれたのは、帽子屋屋敷の部下に与えられた女性用の一室だった。
「プッ・・・制服はっ、すでに準備してあるので・・・それを着て下さいっ」
部屋に入る扉の前で同僚が話しかけてきたので、パロマが立ち止まって話を聞いていると、顔中真っ赤に染めた彼女が視線をあらぬ方向へとさ迷わせた。
もちろん真っ赤に染め上げているのは、決してパロマに惚れたせいではない。
「ちっちゃいオジサンがっ、みっ、見詰めてっ」と、他の同僚が全身を震わせて前かがみになっている。
もちろん震えている理由も、パロマを怖がっているからではない。
ムスッとしたまま一人、部屋の中へと入る。
バタンと扉をしめたら、「きゃはははは!!」と扉の外から大爆笑の渦が巻き起こっているのが聞こえた。
―――もう、勝手にして・・・・
一直線で脱衣室に向かう。一刻も早く、こんな恥ずかしい忍び装束は脱いでしまいたかった。
脱衣室に入ったパロマは、設置してある大きな鏡に映った自分の顔を見て、


「いやああああぁぁぁぁっっ」


あられもない悲鳴を上げた。
(こ、これじゃあ笑われる訳だわ・・・。)
そこには忍者の衣装も霞む、インパクト大のおちゃらけた顔があった。
ガックリと気落ちしたままシャワールームに入って、綺麗さっぱり汚れと落書きを磨き落とし、それから着馴れた仕事着の袖を通した。自分の格好を再度鏡で確認してから、同僚にお礼を言って部屋を出る。
今度はきちんと説明をしに行くつもりだった。
二度目は何の躊躇いも無く、さっきまでいた部屋のドアをノックする。中に入ると、
衣服を改めた4人が立っていた。
「あれっ・・・みなさん、どうしたんですか?!」
いつもの格好ではなく、全員が正装に着替えていた。普段の格好の良さが5割増しになって、パロマはホケッと4人を見渡した。
「これから舞踏会なんだよ。実際それが理由でここに来たんだぜ。」
パロマより遥かに長身なエリオットは、ちきんとスーツに身を包んでいる。
「そ。お前の事は、つ・い・で・だったんだよ。」
「僕達は豪華な食事と城の隠されたお宝探索を嗜みに来たのさ。」
ブラッドとエリオットが強がる双子に白い視線を送る。一番意気がって乗り込んだのはどこのどいつだ。
「さぁ、今までの経緯を聞かせてもらおうじゃないか。まずは何故屋敷を飛び出したのかだ。」
礼服に身を包んだブラッドに誘導され、席に付いたパロマは事の成り行きを細々と話し出した。


prev next

201(348)

bkm


top

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -