30
「おぉ!こんな所に手裏剣隠してある―――って思ったら、折り紙かよ!!ギャハハハ!武器まで見かけ倒しってどういう事?!」
「手裏剣持って構えてみてよ。そう、もっとマジな表情して―――ヤバい。インチキ過ぎて死ぬ程可笑しい!!」
どうせだったら鼻の頭も赤くしてみよう、とパロマはやられたい放題だ。しかしディーに言われた『罰』という言葉が、パロマを雁字搦めに拘束する。しばらくしてヒィーヒィーと苦しそうにのた打ち回る3人を「今しかない!」と大股で跨いで回避し、パロマは部屋の奥で椅子に腰かけティーカップを持ったブラッドに、背後からそろりそろりと近付いた。
「ボス・・・この度は私のせいで大変―――」
振り向いたブラッドが、思いっきり紅茶を噴きだした。
パロマの顔面は先程のイタズラ書きだけでなく、凛々しいモミアゲと口回りを一周した黒々しいヒゲまで描かれていた。ブラッドは毒でも飲んだかの様に、噎せ返り苦しそうにしている。苦悶の表情を浮かべるブラッドなんて拝んだ事も無い。
「ボ、ボスッ?!だだ、大丈夫ですか?」
「お・・お前、謝る気ないだろう・・・。いや、そこまでやるならここまでしろ。」
「えっ、ちょっっ、ボス?!そっそれは勘弁してくださっ」
振り返ったパロマは、ブラッドによって山が二つ繋がった太いマユゲとこめかみに怒りマークを書かれてしまっていた。それを見た他の3人は涙を流して転げ回った。
「やっべぇブラッド!!そこ気付かなかったぜ!ハラワタねじれ過ぎて息ができねぇ。」
「ホント勘弁して〜。腹蹴られたせいで、今マジで内臓やられてんのにっ」
「あっはははは!衣装が断然活きてきたねぇ。酔っ払って路頭に迷う変なオヤジだ!」
「いや、ここは忍者設定を外せないだろう。男前なのに解雇されて自棄になった雪国の忍びだ。」
「ナニ?!それじゃ、里に嫁と子供を残してきた出稼ぎ忍者?!?!仕送り出来なくなっちゃったら、鼻も赤くなっちゃうよなぁ〜。あ、寒さでか。」
「ひゃははは!」「それなら青ッパナも書こう!」と俄然盛り上がる。ブラッドも加わってさらに白熱し、この拷問は終わりが見えなくなった。




―――やっぱりここから逃げ出したい・・・これ以上耐えられない〜っっっ




パロマは恥ずかしさに悶え、もう一度城の中を激走しても良いとさえ思えた。






prev next

200(348)

bkm


top

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -