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「あいつを自由にして、それからどうする?善人面して、恩着せがましく助けてやったと名乗り出て、今度はお前が塔に囲うのか。聖人を気取っても中からは卑しい欲望がダダ漏れだな。」
「黙れ!腹黒いお前とは違う!!」
「同じだろうが!!!」




ガシャンッ!




双方が目にも留まらぬ速さで同時に銃を構えた。




「大好物の金を手にして、とっとと失せろ。」


「倍額出されても、お前には売り渡すものか。」




お互いの眉間にピタッと標準を合わせる。憎しみに震えたユリウスは引き金に指を掛けた。ブラッドは余裕綽々でニヤリと笑う。
「あいつは私の奴隷だ。これ以上の節介は私が許さない。」
「パロマ自らがそれを望んでいる筈がない!身勝手なのも大概にしろ!!」
「それでは、直接本人に問いてみればいい。本性を隠したお前の側で安心して身を委ねられるのかどうか。」
ユリウスが憎々しげにブラッドを見据える。一度グッと指に力を込めたが、すんでの所で引き金から指を外した。
構えた銃は途端にレンチへと姿を変える。
「前言撤回は認めないからな。もしパロマが時計塔に移り住みたいと言ったら、その時は潔く身を引け。」
「お前の吠え面が今から楽しみだ。」
ブラッドは勝ちを確信しているのか不敵に笑う。カチャッと銃口の照準を逸らすと、光の粒子が集まりだし硬質のマシンガンが変貌を遂げる。


「パロマは必ず、返してもらう。」
「せいぜい頑張る事だな。」


ユリウスの宣戦布告を歯牙にもかけないブラッドが、背中越しにヒラヒラと手を振って審判の間を後にしたのだった。


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bkm


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