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「分かっているだろう。お前がパロマを拘束するが為に、あいつに負わせた借金額だ。」
無表情のユリウスに対して、ブラッドがさも見下した視線を送る。
「それを聞いて何になる。部外者のお前には何ら関係もないだろう。」
ユリウスの眉がイラッと歪んだ。
「耳を揃えて全額払ってやる。それであいつを解放しろ。」
「ハハッ!」
それを聞いていきなりブラッド蔑んだ様に笑い出した。
廃墟と化した部屋の中に、深い笑い声が響き渡る。
「屋敷に見慣れぬ鼠が徘徊していると報告があったが、お前の配下だったのか。随分姑息な真似をしてくれるじゃないか。」
ずっと表情を変えなかったユリウスが、




「それがどうした!!」




突然猛り立った。
「何も知らない小娘一人に汚い手を使うな!!あいつは青天白日の身、日の光の中を歩いて行ける女だ。罪と血に汚れて闇でしか生きられないお前の下に等置いておけるか!!!」


「汚い手だって?」


ブラッドが底冷えする声を発する。


「お前が言えた義理か?そんなマフィアの悪玉から、」
煙草を投げ捨て、靴先で鉄くずと共にジャリッと踏み潰す。


「奴隷を金で買おうとしているお前に」
相手の企みなんて見抜いているかの如く、力を込めてギリギリと。




「一切の闇もないと言い切れるのか!!!」




お互いの凍てつく視線が相手を貫く。



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bkm


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