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盾からの衝撃が身体に伝わる度に、ビクビクッと震え上がるパロマだった。
ここへ来て、パロマは自分の思い違いをハッキリと悟った。
怖い怖いと思っていた女王は、アリスと一緒に安全地帯で身を潜めている。
それに相対して、嬉々として戦いに身を投じる男達。
しかも、あっちもこっちも見知った顔ばかり。
灯台もと暗し。最重要危険人物達は実はとっても身近にいたのだ。
(こわいいいっ!逃げたいっっ!!でも動けない!!!)
女子ではパロマがただ一人、渦中の中心部に取り残されていた。パロマは両手を組んで、亀の甲羅が壊されない事を神に祈るのみだ。
「おっと、何処見て撃ってんだよ!もっと下だっての。」
パロマのすぐ傍に立つ呑気なボリスが、軽く銃弾を避けている。たまに掠りそうになる斧も、ヒョイッと回避していた。傍観癖があるのか、パロマを始末するのは後回しにして、周りの戦闘を興味深げに眺めている。きっとこんな小娘一人仕留める位、何時でも出来ると高をくくっているのだろう。
その奢りが仇となった。
「っ!!」
いつの間にか、ボリスの額にピタッと銃が突き付けられていた。
勘が鋭いボリスも気付かぬ内に、彼に敗北を味あわせたのは、
「そよ見をしている場合では無かったな、ボリス=エレイ。こいつを渡してもらおうか。」
マシンガンを構えたブラッドだった。
「へぇ〜。あんなにひどく言っていた割に、随分この子にご執心だね。」
頭に銃を突き付けられているのに、ボリスはニヤリと笑ってどこか楽しげだった。
「時計屋さんの奥さんなんだって?そうなると何?あんたは間男って事になんの?」
自分の窮地に、敢えて相手の機嫌を逆撫でする言葉を口にするボリス。しかし、そんな口車にブラッドは引っ掛かりもしなかった。
「あいつの言っている事はほぼ偽りだからな。まさか馬鹿正直に信じたのか?―――それに、こいつはすぐ顔に出るから、嘘が吐けない。」
―――えっ・・・・
パロマはブラッドの発言にビックリして、甲羅から顔を出す。ずっと疑われていたと思っていたのに、全く信用してくれない人だったのに―――




(私の事、信じてくれる、の・・・?)




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