07
パロマの血流が自然の法則を無視して足で滞ってしまったかの如く、顔色が真っ青に変色した。
「なっななな何言ってるんですか!妻じゃありません!!そんな約束交わした覚えもありません!!!」
こんな所で、とんでもない爆弾が投下された。
すべての目線がパロマに集まる。双子とエリオットの冷たい視線が、パロマの身体に突き刺さった。
「何恥ずかしがっているんだよ。この前だって、ベッドでイチャコラしていたじゃないか。」
パロマの抵抗空しく、エースの第二弾の爆弾が投下。足に溜まった血が一気に身体を駆け上り、今度は顔中が真っ赤に染まった。
「キャあああ―――!!イイイイチャイチャなんてっしてないからああ―――!!」
正直者パロマ。これでベッドの上にいた事は周知の事実となってしまった。ブラッドが黒いオーラを宿しながらパロマを睨む。
「おまえ・・・領土を出てから何をやっていたんだ。その後の経緯を一時間帯も漏らさず、す べ て、白状しろ。」
冷や汗ダラダラのパロマは「えっ」「うぅっ」と詰まる言い訳しか口から出て来ない。しかも視線が合ったらそれだけで殺されそうなので、ブラッドの事を直視も出来ない。
「それが、その・・・それを話すには、底なし沼に嵌った所から脱出する位の長い時間が―――」
「黙れ黙れっ大馬鹿者共が!わらわは即刻こやつの首を撥ねたいのじゃ!!!エースが出来ぬのならば、ペーター=ホワイト!おぬしがこやつを始末せい!!」
ビバルディはパロマに最後まで話しをさせず、死刑執行人にペーターを任命し、
「承知致しました、女王陛下。」
それに対して、すぐさまペ―タが従順な態度を示した。驚くアリスを余所に、肩から提げた丸い金時計に手を掛ける。
「ペーター!ちょっと待ってったら!!パロマは私の友人なのよ?!」
教壇から顔を出したアリスの頬を、ペーターがそっと撫でる。彼はさも心苦しいといった表情を作っていた。
「ああ、アリス。貴方の知人を手に掛ける僕をどうか許して下さい。陛下の勅令とあっては、一介の部下に過ぎない僕はどうやっても逆らえないのです。」
誰が見ても、見え見えに良い人を演じている。
「逆らわぬのだな?ならば、アリスの部屋をわらわの私室の直結部屋へと移し変えい。」
「度が過ぎる我儘は身を滅ぼしますよ、陛下。身の程を弁えて頂けますでしょうか。」
「勅令と私的要望を何故宰相でしかないおぬしが振り分けるのだ!身の程を弁えておらぬのはどっちじゃ!!!」
「・・・ペーター・・・」
しろ〜い視線を向ける女性陣に、ペーターが優しく微笑む。
「わらわの命が下るのを待っておったのであろうが。このペテン師めっ!」
ビバルディが憎々しげに、眉間に険しい皺を寄せる。
「そうは仰っても、もう言質は頂きましたし。そうだアリス、恨みつらみは横にいらっしゃるお方がそれはそれは深い御心で、すべて引き受けて下さるそうなので。何なら気晴らしでも憂さ晴らしでも、ついでにすべてを晴らしては如何でしょうか。」
「誰もそこまで言ってはおらぬわ!!」
カンカンに怒ったビバルディと、言葉を無くしたアリスに背を向けたペーターは、
「さて。」
優しい表情は何処かへ引っ込め、残虐に目を細めた。右の手の平に光の粒子が集まり、時計の原形が崩れていく。


「邪魔な存在は運命に基づいて、死んでもらいましょうか。」



そう言うが早いか、パロマのすぐ側にいるボリスを完全に無視し、パロマの額に向けて引き金を引いた。


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bkm


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