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突然牢屋の鉄格子が動く音が響いて、パロマはビクッと肩をすぼませた。
「?!」
食事は鉄格子の下に開いた隙間から支給されていた為、施錠を外されるのはこの前強制的に連行されて以来だ。
ランプの明かりが牢屋の中を照らし出す。薄暗かった部屋に慣れた彼女には眩しすぎる光だった。


「おい、釈放だ。外に出ろ。」



パロマはビックリして、一瞬言葉を失った。
「・・・え?しゃ、釈放?」
「そうだ。早くしろ。」
慌てて監視員について牢屋から出ようと足を踏み出すと、足ものから悲しそうな鳴き声が聞こえた。
「あっ、チュー太、チュー坊、チュー介!!私、ここから出られるみたい。今までありがとうね。あなた達の事は忘れないわ!」
3匹と熱い抱擁をしてから(傍からは1人で自分を抱きしめているようにしか見えなかったが)、恐る恐る牢屋から這い出た彼女だった。



パロマは、長い廊下を監視員の後ろから急ぎ足で付いていく。
どうやら行先は、この前と同じ部屋だと分かった。
後ろから脅されて、パロマは嫌々ながらもドアを開けると、窓からフワッと優しい風が入ってきて、緻密な模様の施されたカーテンがふんわりと揺れる。
部屋の中央には、この前崩壊した筈の長テーブルと全く同じものが設置してあり、やはり奇麗なルビー色をした紅茶と美味しそうなお菓子が乗っていた。
パロマは時間の感覚が麻痺してくる。
破壊されたテーブル、
飛び散ったデザート、
時間が戻り、それがすべて元通りになったかの様だ。
パロマは前と同じ椅子に座らされるが、以前の様に縛られたりはしなかった。
(そう言えば、牢屋から出ても拘束もされなかった。―――釈放っていうのは本当の事なのかしら・・・)
しばらくすると、雑談をしながら二人の男性が部屋に入ってきた。
ブラッドとエリオットだった。
ブラッドは帽子被り、エリオットは相変わらず可愛らしいウサギ耳をつけている。
(あれは・・・・趣味、なのかな?人の好みは、それぞれだものね。気にしてはいけないの、よね・・・?)
そう思いつつも、パロマはテーブルの向かいの席についたエリオットの、ピコピコと可愛らしく動くうさぎ耳から目を離せないでいた。


「―――さて、囚人君。君は釈放だ。」




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bkm


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