01
「!!」
屈んで避けたボリスの後ろに位置する甲冑に、その凶器がドスドスっと突き刺さる。
それは双方が同じ形の鋭利な斧だった。
パロマの瞳が大きく揺れた。
それと酷似した物を携帯した人物達を・・・・よく知っている。




パロマが斧を見て呆けている間にも、時間はどんどん過ぎて行く。
ドゴォン、ドゴォン・・・っ
斧が甲冑に突き刺さると同時に、発砲する音が円形の室内に響き渡り、ボリスは咄嗟にパロマを離す。自分を狙った銃弾を避ける為だ。ボリスの判断が少し遅れたのか、それとも相手の銃の腕が勝ったのか、移動する際にボリスのファーが銃弾に掠ってチリッと焦げた。すぐさま反撃に出たボリスは、銃弾を数発撃ちこんだが、逆にまた撃ち返されて、横っ跳びで回避していた。




壁際にいたエースは争いの気配を瞬時に察し、ビバルディを甲冑と甲冑の間の教壇まで避難させた。
「さぁて、盛り上がってきたね〜。」
兵士二人に女王を預けてからエースは意気揚々と、雲行きが怪しくなった表舞台へ、足を一歩踏み出した。




「何々っ?!急にどうしたのっ?!きゃあっ!!」
ペーターがひっきりなしに頭を動かしているアリスをヒョイッと抱き上げて、ビバルディのいる場所へと移動する。エースも同じ行動を取ったが、この円形の空洞では、その場所が一番安全なのだ。まだ状況が分かっていないアリスをそっと地面に下ろす。
「心配は要りませんよ、アリス。貴方の事は僕が全力でお守りします。だからと言っても、むやみにその可愛いお顔を出さないで下さいね?」
「・・・・真隣にいる、おぬしの主人に対する忠義心はどうした。」
やたらと甘ったるい雰囲気を醸し出す二人に対して、ビバルディが引き攣りながら自己主張してみた。
「?ああ、陛下。いつからそちらに。」
「っっっっ〜!どいつもこいつもっ鼻に付く者ばかりっ!!まともな部下はおらんのか!!!」
「女王たる者が、あまり唾を飛ばしてお話になるものではありませんよ。アリスにも僕にも失礼だ。ここには消毒液も消臭剤もないのですから。」
「おぬしの存在自体が失礼じゃ!!」
ピーっと沸騰したビバルディを、アリスが「まぁまぁ」と宥めている。
ペーターはアリスの身体が教壇からはみ出していないかを念入りに確認すると、この部屋の一つしかない出入り口へと忌々しげに視線を向けた。



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