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速足で螺旋階段を登ると、見晴らしのいい塔の最上階に到達した。少し遅れてアリスも何とか追い付いてきた。
絶景には目もくれず、ユリウスは森を、詳しくは帽子屋屋敷領土の方角に目を凝らした。アリスも倣って同じ方向を見据える。
すると、
一つの街の一角が突如炎上し、髑髏マークの煙がモワッと立ち上った。
森に住む鳥達が激しく鳴きながら方々に羽ばたく。
「何あれ?!何が起きているの!?」
アリスは息を飲んで燃え盛る場所を見詰めた。
―――エースが言っていたのはこの事だったのか・・・。
「何かが起きているのは間違いがないな。そしてパロマも確実に絡んでいるのだろう。我々も大至急行動を起こすしかないな。」
「それじゃあ、何?あそこの場所に、帽子屋屋敷に行くっていうの?」
アリスは不安げにユリウスを見上げる。


「いや違う。向かうべき場所は『舞踏会』だ。」


ユリウスは堅い表情で遠くの炎を見つめながらはっきりと告げた。それを聞いてアリスはハッとした。
「そうね、あの子がお城に向かったんだとしたら、私達も急ぎましょう。」
「私は少々調べ物をしてからすぐに追いかける。お前はとにかく城に急行しろ。」
そうして二人は塔の展望台を後にした。





そして、各々がそれぞれの思惑の元、目指す場所は同じく『舞踏会』へ―――







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