08
帽子を取りながら向かいの男性がパロマに話しかけてきた。
帽子が無くなったお陰で、彼の顔が見えたが、こちらもとてつもなく整った顔をしていた。
スッとした目鼻立ちに、憂いを帯びた視線。
その顔立ちがパロマの記憶の何かに引っ掛かった。
(・・・どこかで、見た覚えが・・・?) 
パロマは必死に記憶をたどり寄せていると―――


―――あっ!!!アリスの家庭教師!!!!


ここで知り合いに会えたというホッとした気持ちが、自分が牢屋に入れられて、今現在椅子に縛られている状態を一瞬で忘れさせた。
「こ、こんにちは!始めまして。お噂はかねがね伺っています。私はパロマと言います。私は何度かお見受けしたことがあるのですが、会うのは初めてですよね?」
パロマは失礼の無いように急いで挨拶をした。
「・・・ブラッド、こいつはやっぱり確信犯だな。ブラッドを知っている事を隠しもしねぇ。」
ウサギ耳の彼の目つきがさらに鋭さが増し、視線が刺すように冷たい。
そして、何か黒光りする物をサッと取り出した。


(じ、銃?!)


「そうだな。どこで出会っているのか、正確に教えてもらいたいものだな。」
そう言って、アリスの家庭教師は冷めた目線でパロマを見下した。
そして、二人は銃を構えて銃口をパロマに向けた。
初めて見る本物の銃で二人から標的にされ、顔の血かサーと下がり冷や汗がドッと溢れた。
パロマは気軽に挨拶したのが、そもそもの間違いだったと悟った。


―――ナイトメアさん・・私、次の夢まで生きていられる気がしません・・・―――



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bkm


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