07
パロマは突然全身の冷たさで、ハッと夢から目が覚めた。
辺りを見渡すと顔がはっきりと分かりにくい人物たちが、彼女の周りを取り囲んでいた。その内の1人が空の桶をもっている。彼女が冷たく感じたのは、どうやら溜まった水を頭から掛けられたからのようだった。
「立て!ボス達がお呼びだ!!」
彼女は引きずられるように牢屋から連れ出されて、後ろから銃を突き付けられながら、長い廊下を無理やり歩かされた。
パロマの心臓が、飛び出しそうな位ドキドキしてくる。
本当は今にもしゃがんでしまいそうな位、足に力が入らなかった。
彼女が連れてこられた場所は、意外にも広々とした奇麗に整頓された部屋で、大きな窓に絢爛なカーテンが風になびいていた。
部屋の中央には長いテーブルがあり、そこにはお茶の準備が整っていて、紅茶の芳しい香りと出来たてのお菓子の甘い香りが部屋中に充満している。
パロマは乱暴に椅子に座らされ、椅子に体を縛られてしまう。その力任せな拘束は、パロマの体に悲鳴を上げさせた。あまりの息苦しさに、呼吸が詰まる。


すごく長閑な雰囲気の中、椅子に拘束されたびしょ濡れの少女、客観的に異常な光景がそこには広がっていた。


身体の自由を奪われ、パロマは全く身動きが取れない。
全身をガタガタ震わせながらこれから起こる何かに脅えていた。彼女の後方でドアが開く音がして、パロマはビクッと身体を震わせた。
何人かの男性を従えながら、テーブルを挟んだ向かいの椅子に、一人の男性が颯爽と席についた。もう一人は椅子には座らず、威圧的に立ち続けている。
1人は帽子を深くかぶっているため、顔がはっきりわからないが、連行してきた人たちの様に霞んでいるわけではない。
口元には微笑を浮かべ、何か楽しい事が始まるのを待っているような出で立ちだ。
一方、もう一人は目に鮮やかなオレンジ色の髪に切れ長の眼、掘りのはっきりとした、ハッとする位の美男子だ。しかし、相方とは打って変わって殺気を帯びた顔をしていた。


(頭にはウサギの耳・・・みみ・・・??)


パロマは一瞬怖がっていたのを忘れて、この場にそぐわない可愛いらしいウサギ耳を凝視した。


「さて、お嬢さん。君は何をしでかしたのかわかっているのかな?」




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bkm


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