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兵士はまだパロマがいる方角を気にしていたが親方と何やら話し込んでいるので、パロマはやれやれと前方に視線を戻した。今の2回のハプニングで、確実に身体の水分の4分の1位は汗で流れてしまっただろう。
門まで辿り着くと、他にも大勢の行商が立ち往生をしていて、門前で順番待ちをしている。見張りの兵隊も彼らの対応で忙しなく動いていた。
パロマがくっついていた行商も城門手前の中庭で荷車を止め、親方が一人の傭兵を捕まえて地図を片手に話しあっている。パロマはマントから姿が見えない様慎重にその場から離れた。
(やったぁ!!第一関門突破できた!!本当に良かったよぉ〜。)
マントの中で渾身のガッツポーズを作るパロマ。その姿はまるですべてが大成功に終わったかの様な喜び方だった。




しかし、それは単なるぬか喜びでしかない。
彼女の策略がうまく行ったのは、そこまでだった。




城内をけたたましい警戒音が響き渡る。
重装備の兵隊がガチャガチャと音を立てながら通廊を走り回っている。
「侵入者発見―――!!!繰り返す、侵入者発見!!!」
「城内に不審者が潜り込んだ模様!!警備兵総員で捜索に取り掛かれ!!!!」
その言葉は直ちに城中に伝わり、城内は厳重な警戒態勢が敷かれた。
一方、パロマはと言うと―――


(きゃああああああ―――!!!!何でこうなるのおおお―――?!)



やっぱり走っていた。


緻密に埋め込まれた大理石の回廊はアーチ型の天井がフレスコ画による装飾が施されている。
壁には壮大な壁画が回廊を進むにつれひとつの物語を奏でている。一歩踏み入れたら、立ち止まらずにいられないような堂々たる回廊を、パロマはわき目もふらずひた走る。
綺麗に磨かれた大理石に靴音だけが響き渡った。
「こっちで物音がするぞ!!!」
「西の回廊だ!!追え追え―――!!」
(ななな何で?何で足音だけでわかっちゃうの?!)




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bkm


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