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―――転がった無能な王を、尖ったヒールで踏みつける首狩り族の女王様。


パロマの身体がブルッと震えた。
「やっぱり、予定通り裏門に回ろうっと。女王様と正面から向き合うなんて無理無理。」
エースと対話してから、勇気を出して真正面から体当たりとも思っていたが、やはりユリウスの言い付け通り、行きずりの商人に紛れて潜入する方向へとさっさと考えを改めた。長い物にはグルグルと撒かれるパロマであった。



女王様が、怖過ぎる。




繁華街から流れに沿って街道を進むと、中心部に聳え立つ巨大な城の城壁が見えてくる。
街道は徐々に大きく広がり、中央が噴水になっている大きな広場に繋がった。そこを中心に舗装道路が張り巡らされていた。大通りには人が大勢行きかい、パロマはとりあえずその中に姿を隠す。しばらく流れに沿って歩いていくと、城の後ろ側まで回る事ができた。
正面の雄大な門とは違って、少し小ぶりな門が左右に開放してある。小さいと言っても門までは橋が掛った長い一本道、橋の袂と中央には兵士が二人体勢で行き来する行商を監視している。門の真下では太く巻かれた文書を持った衛兵が商人の積み荷をひとつひとつ照らし合わせている。一筋縄では突破できない難関だ。
(フッフッフ。そこはちゃんと作戦を考えてきたのよ〜。)
パロマは木陰に隠れて秘密のポケットを探る。
テテテテッテテ〜ン♪と自分で効果音を歌いながら取りだしたのは、パロマの唯一の武器『透明マント』だった。
(これを被って、商人のキャラバンに潜り込めば鬼に金棒!絶対に気付かれないって寸法なのよねっ!)
ゴソゴソとマントを被ると、途端に彼女の姿は空気に溶け込み完全に見えなくなった。橋の手前で審査待ちをしている大きめの行商団体に目星を付け、もう一度自分の身なりを確認してから、足音を立てない様こっそりと目的の場所へと忍びよる。
一番年若い女性の後ろにピタッと張り付き、行商が少しずつ動くのと同じ動きを取って確実に橋に近付いていった。
するどい目で見張る兵士が姿を隠したパロマのすぐ目の前まで迫っていた。
兵士の目線が射抜く様に左右に流れる。


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bkm


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