(これが終わったら、時計塔のユリウスさんに謝りに行って、それから帽子屋屋敷のみなさんに正直に打ち明けて、許してもらえるまで土下座して・・・・何だかやることが一杯ね。)
真っ暗な森の中を、一人、トボトボと歩く。
本当は終わるかどうかも分からなかった。
いろんな事が有り過ぎて心が戸惑う。
なり振り構わず突っ走ってきたが、それが本当に良かったのか。もっと良い方法が、こんなに人を傷つけない最善の道があったのではないだろうか。
そして、これから自分が立ち向かおうとしている場所、それはこの領域を統べる王宮だ。王族の守りを固める兵士達の任務はお遊びではない。
城内部にこっそりと忍びこみ、
そこで時間をかけず真っ先にアリスを見つけ出し
救出して・・・・そして、一緒に元の世界へ帰る ―――
そんな楽観的な結末までうまく事を運べる可能性は一体どれ程なのか。
一歩城に踏み入れたらそこから無事に城外へと出る事が・・・はたして自分に出来るのだろうか
重い歩みを進めるパロマの前方に微かな光が見えだした。
彼女は少し歩みを速める。
前に行けば行く程、光が溢れて煌きだす。
最後の方は駆け足になっていた。
森を抜けたパロマの目前には・・・・
まばゆい光線を浴びせられた豪華絢爛な『ハートのお城』が姿を現した。