07
パロマは黙っている事が辛くて、ユリウスとの誤解からアリスの事まで、すべてを打ち明けてしまいたくなった。
しかし、そうすると帽子屋屋敷に滞在していた事等も包み隠さず話さなければならない。事実を自分勝手に曲げに曲げて理解してしまうエースにどこまで話が伝わるのか・・・。
(・・・ダメだ。正確に分かってもらうなんて、私には出来っこない。)
パロマはスクッと立ちあがった。顔中汗が噴き出している。
「あは、あははは〜。そんな訳ないじゃないですか、エースさん。あ!!焚き火の木が炭になってきちゃっていますね!私ちょっと小枝を探してきます〜。」
大げさに驚いてから、勢いよく火を噴きだす焚き木を背に、早歩きでその場から立ち去る。パロマは逃げの一手に身を投じた。
彼女は大股で森の中を突き進む。
方角なんてどうでも良かった。ただ彼の傍から一刻も早く遠ざかりたかった。
闇夜の森は焚き火の明かりが無ければ辺り一面真っ暗だ。闇に紛れてしまえば、近くにいたって気付かれはしまい。
しばらく歩くと前方に何かがキラリと光った。
それは月の光に反射した銀色の刀。
ゆっくりと背中から大刀を引き抜くエースがそこにいた。





「そんなに急いでどこへ行くの?君の秘密は随分罪が重そうだ。」





エースが剣を振り払う。月光が反射し剣の軌道で光が線になる。それからピタッと剣先をパロマに向けた。
「あああああの、私、そんな物を向けられる位悪い事をしましたでしょうか。」
「い〜や?でも、こうでもしなきゃ、君は何にも喋ってくれそうにないからさ。」
親しげな言葉とは裏腹に、剣先はしっかりとパロマを捉えていた。
「俺の友人は見た目通り人付き合いが下手なんだ。人に言えない様なうしろ暗い内情なんて持って良いやつじゃない。もちろん隣に並ぶ女性にもね。」



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bkm


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