03
茶色い大行列が不意に頭を上げ、せわしげに首を動かし耳をピクピク動かしている。そしてすべてのヤギが興奮状態に陥り、我先にと動き出し、左の茂みに逃げて行く。
そう、それはどう見ても何かから逃げていた。
発する鳴き声も何だが緊迫して聞こえてくる。
あっけにとられた二人は呆然とヤギの後を見つめたが、何だか右の茂みがザワザワしてきたのに気が付いた。パロマはゴクッと唾を飲み込んだ。
すごく・・・・すごく、嫌な予感がする・・・。


「ガウ!ガウガウウウ!!!!」


右の茂みから飛び出してきたのはオオカミの群れだった!
身を潜めるのを止めた獣達は、一斉に威嚇の咆哮し草むらから飛躍してくる。その内の一体だけでもパロマの大きさは優に二倍を超していた。パロマの真横を引きしまった巨体がスルリと通り抜けて行く。
「いぃぃぃやあああああああ―――!!!!」
「すげ!!銀の毛並み!激レアの銀狼じゃないか!!今、俺マジでツイてる!!!」


―――どこがツイているっていうのよおおおっ!!!!!


涎を飛び散らせながら獲物を追いかける狼と逃げ惑うヤギ達に囲まれながら、二人してヤギと同じく一目散に逃げ出した。






(・・・どうしてこうなるのぉ〜・・・。)
体中に葉っぱを付けたパロマは同じく葉っぱで着飾ったエースと一緒に森の中を歩いている。
もちろん迷子だ。
狼の群れの狙いは山ヤギだったお陰で、こっちには向かってこなかったのに、何故かパロマの手を取ったエースは山ヤギと同じ方向に逃げた。手を離そうにもガッチリ繋がれ、どうやってもはがれなかった。何度も違う方向に彼を引っ張って行こうとしたのだが、そこはやはり騎士なのか、力では全然敵わなかった。故に回避できた筈の命の危険に絶えず曝されてしまった。
最後はやっと一頭をしとめてくれた狼達が、追うのを止めてくれたお陰で逃げられたのだ。この騎士、全く使い物にならない・・・。


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bkm


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